私は特許事務所で特許の出願書類などを作る仕事をしています。最近はブロックチェーン関連の出願の依頼が増えてきているので、クライアントの発明をしっかり理解できるように予備知識をもっておかないといけません。
ということで、ブロックチェーンの技術面の基本知識を得るため、本を買って勉強を始めました。
勉強に使える本2冊を紹介します。あなたの本えらびの参考にどうぞ。
ブロックチェーン、スマートコントラクト関連のおすすめ本2冊
ブロックチェーンの技術はビットコインのような仮想通貨の話題で超有名になりました。
もともとブロックチェーンは仮想通貨とは独立の技術です。有名になるのと前後して、ブロックチェーンを利用した発明や、欠点を改良した改良版の発明がたくさん生まれるようになってきています。仮想通貨と関係のない技術にも当然利用されます。
仕事がら、ブロックチェーンの技術の基礎的な部分を理解していないと、メインのアイデアを理解できない状態になり、困ったことになってしまいます。
インターネットで探せばたくさん情報があるのがわかります。一見きれいにまとめられているのですが、どれも似たような感じがします。また、いまひとつ核心に届いていない感じがします。
そこで、ブロックチェーンとその関連技術を体系的に理解すべく、ブロックチェーンの技術面の解説本を2冊入手してざっと読んでみたので、その感触をシェアします。性質が違う2冊なので、それぞれどんな本なのかわかるかと思います。あなたの本えらびの参考にどうぞ。
おすすめ:ブロックチェーン技術の教科書
Chapter 2 ブロックチェーン・分散台帳の仕組み
Chapter 3 ビットコインの仕組み
Chapter 4 スマートコントラクト
Chapter 5 従来技術とブロックチェーン
Chapter 6 ブロックチェーンの実現可能性
Chapter 7 ブロックチェーンソフトウェアの例
Chapter 8 ブロックチェーンを使ってみよう(1)~データ共有篇~
Chapter 9 ブロックチェーンを使ってみよう(2)~スマートコントラクト篇
ピアツーピアネットワークから発展させてブロックチェーンの概念を説明されています。また、ビットコインの取引を例に挙げて、取引の流れ、データの格納の仕方などがわかりやすいく説明されています。
コンセンサスアルゴリズム、スマートコントラクトなどのブロックチェーンに関連する技術や、デジタル署名、ハッシュなどの要素技術も一通り説明されてます。
基本的には、実装系の内容はないですが、最後に実装例としてスマートコントラクトのサンプルコードがあります。実際に動かしてみることができれば一番いいのですが、そこまでいかなくても、スマートコントラクトの概念の理解がだいぶ進みます。
ちなみに、本を開く側の紙の側面、小口の部分がオレンジ色になっているのも特徴です。手垢で黄色くなっても目立たないのもメリットかもしれません。
ということで、ブロックチェーン技術の基本を学ぶには適切な一冊といえると思います。この本を選んでおけば失敗はないと思います。
おすすめ:徹底理解ブロックチェーン ゼロから着実にわかる次世代技術の原則
Stage2 ブロックチェーンはなぜ必要か
Stage3 ブロックチェーンはどう機能するか
Stage4 制限とその克服方法
Stage5 ブロックチェーンの活用とまとめ
「徹底理解」という語のとおり、ブロックチェーンそのものの技術や要素技術それぞれについて、なぜ必要かという観点からの説明、技術の中身の説明、次のステップ、という流れで論理的に詳しく説明されています。実装系の内容はありません。
インターネット上でよくあるブロックチェーンの説明とは少し違うアプローチで、各要素について根本的な理解をする助けになると思います。人より深い知識を身に着けたい、身に着ける必要がある場合には、頼りになりそうです。
一方、ブロックチェーンのことをあまり知らない状態でこの本だけを読んでも理解につながらないかもしれません。論理的に文章が構成されている反面、情報処理の様子の直感的な理解がしにくい感じがします。
ある程度の表面的な知識を得た人が、どうしてそんな処理になっているのかといった疑問を解決したいときに役に立ちそうな一冊です。ブロックチェーンそのもの技術開発や関連技術に関わる仕事をする場合には、このような根本的な理解も必要になりそうです。
ブロックチェーン関連の発明の紹介
当サイトで紹介している特許で、ブロックチェーンに関する特許には「ブロックチェーン」タグをつけています。例えば以下の記事で紹介しています。
- 2022年5月15日
- 2022年5月8日
- 2022年4月10日
- 2022年1月16日
- 2019年12月1日
今日のみどころ
ブロックチェーンの本を2冊紹介しました。性質が異なる2冊で、どちらもおすすめです。この2冊である程度の知識が得られます。いろいろな用語の正確な使い方の参考にもなります。いつでも見れるように持って置くのにも良いと思います。
ブロックチェーンというキーワードしか知らない状態でインターネット上の情報をあさっても、ブロックチェーンを利用したスマートコントラクトなどの関連技術にたどり着けないんですよね。知らないキーワードの技術にもたどり着けるのが書籍のメリットともいえます。
気になる本があれば内容確認してみてください。増えたらまた追記する予定です。