今回は、ブロックチェーンを利用した電子投票に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、ブロックチェーンで電子投票(秘密投票)を実現するのが難しい問題があります。
本発明では、投票者IDと票IDとを独立に2つのブロックチェーンで管理します。これにより、ブロックチェーンを用いて秘密投票を実現することができます。
ブロックチェーンで電子投票(秘密投票)を実現するのが難しい
一部の自治体で電子投票が行われています。電子投票では、個人の認証と投票とを高い信頼性で管理する必要があります。
個人の認証の情報は、第三者に確認される必要があります。また、投票内容は、得票数という形で公表される必要がありますが、どの投票者がどの候補者に投票したかは、わからないようにされなければなりません(秘密投票)。
高い信頼性で管理するためにブロックチェーンを使うアイデアがありますが、ブロックチェーンで管理された情報は、公表されることになるので、そのままでは秘密投票を実現することができないという問題があります。
投票者IDと票IDとを独立に2つのブロックチェーンで管理
この発明の電子投票システムによれば、ブロックチェーンを用いて秘密投票を実現することができます。
この電子投票システムは、複数の認証サーバと複数の投票サーバとを備えています。
複数の認証サーバは、投票者のID(第一ID)と投票者の認証情報とを端末から受信して、認証情報をブロックチェーンに格納します。
複数の投票サーバは、投票する票のID(第二ID)と、投票内容を示す投票データとを端末から受信してブロックチェーンに格納します。
端末は、認証サーバに認証情報を送信した後に、投票サーバに投票データを投票します。
ここで、投票者のIDと票のIDとが独立であるので、認証サーバのブロックチェーンと、投票サーバのブロックチェーンとのそれぞれが公開されたとしても、どの投票者がどの候補者に投票したかがわからないようになっています。
このようにして秘密投票を実現することができます。
特許第7029328号 パナソニックインテレクチュアルプロパティコーポレーションオブアメリカ
出願日:2018年3月26日 登録日:2022年2月22日
秘密投票を可能とする電子投票システム等を提供する。
【請求項1】
端末と、複数の認証サーバと、複数の投票サーバとを備える電子投票システムであって、
前記複数の認証サーバのそれぞれは、
投票者に紐付けられる第一IDと、前記投票者の認証情報とを含む認証データを前記端末から受信し、受信した前記認証データを用いて前記投票者を認証する認証処理部と、
前記認証処理部により前記投票者が認証されたことを示す第一取引データを含む第一ブロックチェーンを記憶している第一記憶部と、
前記第一記憶部が記憶している前記第一ブロックチェーンを、前記複数の認証サーバのうち当該認証サーバを除く1以上の認証サーバと同期する第一同期部とを備え、
前記複数の投票サーバのそれぞれは、
前記投票者が投票する票に紐付けられる第二IDであって、前記第一IDとは独立である第二IDと、前記票の投票内容を示す投票情報とを含む投票データを前記端末から受信する投票処理部と、
前記投票処理部が受信した前記投票データに含まれる前記投票情報を第二取引データとして含む第二ブロックチェーンを記憶している第二記憶部と、
前記第二記憶部が記憶している前記第二ブロックチェーンを、前記複数の投票サーバのうち当該投票サーバを除く1以上の投票サーバと同期する第二同期部とを備え、
前記端末は、
前記認証データを生成し、生成した前記認証データを前記複数の認証サーバのうちの一の認証サーバに送信するデータ生成部を備え、
前記データ生成部は、さらに、
前記認証サーバに前記認証データを送信することで、前記一の認証サーバによる認証が成功した後に前記投票データを生成し、生成した前記投票データを前記複数の投票サーバのうちの一の投票サーバに送信する
電子投票システム。
今日のみどころ
ブロックチェーンを用いて秘密投票を実現するために、認証情報を管理するブロックチェーンと投票を管理するブロックチェーンとで独立なIDを用いることがポイントです。
ブロックチェーンを使って、不正のない電子投票ができるようになると、早く、正確に投票結果を管理することができるようになりますね。
人手を使った人海戦術から比べると、選挙の仕事の効率がかなり上がるでしょう。すばらしい。選挙の仕事がなくなって困る人もいるかもしれませんが、、、