ブロックチェーンを使って電子ファイルの存在証明をする特許発明 bitFlyer

図1

 電子ファイルが過去に存在していたことを証明する方法が求められていました。

 この発明では、電子データの情報を含めたトランザクションデータをブロックチェーンに格納します。ブロックチェーンに格納されたデータの改ざんが非常に難しいので、ブロックチェーンから取得された電子データは、そのデータの格納時に存在していたことが証明されることになります。

 特許第6275302号 株式会社bitFlyer(ビットフライヤー)
 出願日:2017年3月22日 登録日:2018年1月19日

高い堅牢性を有する存在証明方法が求めらている

 従来、画像ファイルやテキストファイルなどの電子データが、過去の特定の時点で存在していたことを証明する証明手法が検討されています。

 例えば、電子的なタイムスタンプを発行する専用サーバ(タイムスタンプ局装置)から提供されるタイムスタンプデータを利用する方法や、認証サーバが電子メールに時刻情報を含む電子消印を付与する技術などがあります。

 しかしながら、より高い堅牢性を有する存在証明方法が求められていました。

電子データの情報を含めたトランザクションデータをブロックチェーンに格納

図11

 この発明では、ブロックチェーンを利用して電子データが存在していたことを証明します。ブロックチェーンは、改ざんが非常に難しいデータベースを実現するシステムで、ビットコインなどの仮想通貨の取引履歴を管理する台帳(分散台帳)に使われています。

 証明する対象の電子データの情報を含むデータ(トランザクションデータ)は、そのトランザクションデータを識別子や時刻情報と一緒にブロックチェーンに格納されます。トランザクションデータに含められる情報量は限られているので、電子データそのものの代わりに電子データのハッシュ値を用いることもできます。

 そして、後で、その電子データが存在していたことを証明したいときには、ブロックチェーンから上記の専用識別子を検索して、先に格納した電子データのハッシュ値を取得します。

 ブロックチェーンに格納されたデータの改ざんが非常に難しいので、ブロックチェーンから取得された電子データは、そのデータの格納時に存在していたことが証明されたことになります。

OP_RETURN の後にバイト列を格納

図7

 証明する対象の電子データを示すバイト列(画像データなどの場合はハッシュ値)は、トランザクションデータのスクリプト内の「OP_RETURN」の後に格納されます。

 「OP_RETURN」は、一般的なプログラミング言語の「return」と同様、そこでスクリプトの実行を終了する意味を持っているので、その後に格納されたバイト列は、トランザクションのデータに影響を与えないという特徴があります。この特徴を利用して、トランザクションデータに任意のバイト列を格納できます。

【課題】
特定の電子データが特定の時点で存在していたことを高い堅牢性で証明する新規な存在証明手法を提供する。
【請求項1】
 特定の電子データが存在していたことを証明するための存在証明方法であって、
 存在証明の登録対象となる電子データを登録する際に、
 サーバが、前記電子データの内容に基づき決定されるバイト配列を有するトランザクションを生成して、当該トランザクションをデジタル署名した上で、ブロックチェーンが存在するネットワークにブロードキャストするステップと、
 前記サーバが、前記バイト配列と前記トランザクションに対応するトランザクション識別子とを関連付けて前記サーバのデータベースに記憶するステップと
を含み、
 前記電子データの存在証明を検証する際に、
 前記サーバが、前記電子データの内容に基づき決定されるバイト配列を生成し、前記データベースに記憶されたバイト配列とトランザクション識別子との関連付けを参照して、前記バイト配列に関連付けられた前記トランザクション識別子を特定するステップと、
 前記サーバが、前記トランザクション識別子をキーに前記ネットワーク上に存在する前記ブロックチェーンを検索して、前記トランザクション識別子に対応するトランザクションの有無を判定するステップと、
 前記サーバが、前記判定の結果が有の場合に、前記トランザクション識別子に対応する前記トランザクションからバイト配列を抽出するステップと
を含み、
 前記抽出されたバイト配列が前記登録の際に記憶されたバイト配列と一致することにより前記電子データの存在が証明されることを特徴とする存在証明方法。

今日のみどころ

 ビットコインの取引を記録するデータベースを実現しているブロックチェーンの技術を利用した電子ファイルの存在証明技術です。ブロックチェーンの改ざんが非常に難しいという特徴を利用して、過去に電子ファイルが存在していたことを証明します。

 明細書の中に、取引データに収める情報が、ある程度詳しく書かれていて勉強になります。取引データの中に、取引とは直接関連しないデータを含めることができ、これを利用してファイルの情報を収めます。

 仮想通貨の流出などの問題が生じたこともありますが、ブロックチェーン技術の信頼性の高さが崩れたわけではありません。ブロックチェーンの技術は、暗号の仕組みとハッシュの性質を組み合わせてシンプルに、かつ、とてもよくできています。