【特許紹介】スマートコントラクトによりエスクロー決済処理して安全な取引をする特許発明(三井住友銀行)

 今回は、商品販売サイトなどでのスマートコントラクトの処理に関する発明を紹介します。ブロックチェーン技術に関連します。

 ECサイトを介した取引でのエスクロー決済がうまくいかないことがあるという問題があります。

 この発明では、スマートコントラクトによりエスクロー決済の一連の処理を実行します。これにより第三者を介在させずに一連の処理が行われるので、取引の安全性、信頼性が確保されます。



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ECサイトを介した取引でのエスクロー決済がうまくいかないことがある

 インターネット上のサイト(ECサイト)を介した取引が行われています。よく知られているアマゾンや楽天などの商品販売サイトが代表例です。

 このような取引を行う時に売り手と買い手との間に第三者が仲介して決済を行うことをエスクロー決済といいます。取引の安全性、信頼性のためです。

 しかし、エスクロー決済をする場合でも、ECサイトの提供者に作業の遅延や忘却が発生すると、取引が適切になされないという問題があります。

スマートコントラクトによりエスクロー決済の一連の処理を実行

 この発明では、エスクロー決済に関する一連の処理を、スマートコントラクトを用いて構築および実行します。スマートコントラクトというのは、一連の処理がプログラムとしてブロックチェーンに格納されているものです。このプログラム自体が改ざん困難であるという特徴もあります。

 スマートコントラクトは、一例としてECサイトのサーバに構築されています。

 具体的には、購入者が商品の購入をしようとするとき、その購入者の口座のデータを見て商品の代金の支払いができるかどうかを金融機関のサーバが判定します。

 そして、商品の代金の支払いができると判定した場合に、スマートコントラクト(ECサイトのサーバ)に通知して、決済処理を実行させます。

 そして、スマートコントラクトでの決済処理が終わったら、金融機関のサーバが支払処理をします。

 このようにすることで購入者が商品の購入をしようとするときの一連の処理が第三者を介入させずに行われるので、取引の安全性、信頼性が確保されます。

 特許第6224283号 株式会社三井住友銀行
 出願日:2017年2月24日 登録日:2017年10月13日

【課題】
エスクロー決済における一連の処理を、スマートコントラクトを用いて構築および実行することにより、安全性および信頼性を担保した取引を行なう。
【請求項1】
 スマートコントラクトによるエスクロー決済を実行するシステムにおけるコンピュータであって、前記コンピュータは第1のコンピュータであって、
 第2のコンピュータから、購入希望商品の支払指示データを受信し、
 前記支払指示データ、および前記購入希望商品の購入希望者の口座データに少なくとも基づいて、前記購入希望商品の販売者への代金の入金が可能か否かを判定し、
 前記代金への入金が可能であると判定した場合、入金が可能である旨を前記スマートコントラクトが格納された第3のコンピュータに通知し、前記スマートコントラクトは、入金が可能である旨の前記通知を受信すると、前記第3のコンピュータに前記購入希望商品の決済処理を実行させるものであり、前記決済処理は、少なくとも、前記購入希望商品の支払処理および納品処理の指示を含み、
 前記購入希望商品の決済データを前記第3のコンピュータから受信し、
 前記決済データに基づいて、前記購入希望者から前記販売者への前記支払処理を実行する
 ように構成されたことを特徴とするコンピュータ。

今日のみどころ

 この特許は、金融機関のサーバの処理に関する技術です。最初にざっと読んだとき、ECサイトが実行する決済処理そのものに特徴があるのかなと思ってしまいました。スマートコントラクトが比較的新しい技術だと思い込んでいるせいかもしれません。

 でもそうではなく、この特許は、スマートコントラクトと情報をやりとりする金融機関のサーバの方の発明です。

 新しい技術が登場すると、その技術の周辺にも新しい技術が必要になります。そこにまた新しい発明のチャンスがありますね。こう考えるとどんどん新しいアイデアがうまれてきますよね。