今回は、ブロックチェーンに関する発明を紹介します。
従来、ブロックチェーンの記録の信頼性を高く、かつ、応用分野を広くすることが望まれていました。
この発明では、パブリックノードとプライベートノードを混在させたネットワークを構築します。そして、プライベートノードがブロック確定まで次の承認を待機することでハッキング対策を行います。このようにして、信頼性と拡張性を両立します。
特許第6199518号 株式会社bitFlyer(ビットフライヤー)
出願日:2017年3月23日(分割の原出願日:2016年3月31日) 登録日:2017年9月1日
ブロックチェーンの記録の信頼性を高く、かつ、応用分野を広くしたい
ブロックチェーン技術には、パブリックノード方式と、プライベートノード方式とがあります。ノードというのは、分散データベースを保存しているPCやサーバ装置で、ブロックチェーンのネットワークを構成する要素です。
パブリックノード方式は、一般のノードでネットワークが構成される方式です。ノードが必ずしも信頼できないので、ノードでの改ざんを防止するため高コストのコンセンサスアルゴリズムが必要です。例えば、ビットコインは、パブリックノード方式で、新しいビットコインを発掘するのに所定の計算処理をする必要があります。
プライベートノード方式は、信頼できるノードのみでネットワークが構成される方式です。高コストのコンセンサスアルゴリズムは不要です。ノードの制約上、応用分野が限定されます。
ブロックチェーンによる分散データベースにおいて、記録の信頼性と応用分野の拡張性との両立を図ることが望まれています。
パブリックノードとプライベートノードを混在
この発明では、パブリックノードとプライベートノードの両方がネットワーク上に存在して、役割分担をしています。パブリックノードがトランザクションデータの生成をする役割をもち、プライベートノードがトランザクションデータの保存をする役割をもっています。
そして、パブリックノードが取引を行うとトランザクションデータを生成しプライベートノードに提供します。プライベートノードが、そのトランザクションデータを含むブロックを生成してブロックチェーンに接続します。
このようにして、複数のプライベートノードがブロックチェーンを分散して保有しています。
ブロック確定まで次の承認を待機するハッキング対策
さらに、プライベートノードは、ブロックを生成した後、他のプライベートノードが生成したブロックが確定するまで、次のブロックの承認依頼を行わないようにします(請求項1)。これにより、ハッキング対策の効果があると説明されています。
また、複数のプライベートノードでブロック生成の順番(例えばラウンドロビン)が割り当てられていることで、同一のトランザクションを含む別個のブロックを生成してしまうことを回避するアイデアもあります(請求項2)。
取引情報が記されたトランザクションをブロック化して分散データベースに取り込むネットワークにおいて、記録の信頼性と応用分野の拡張性との両立を図る。
【請求項1】
パブリックノード群とプライベートノード群とを有するネットワークにおいて前記プライベートノード群を構成するプライベートノードにおける処理方法であって、
前記パブリックノード群から受信した複数のトランザクションを有するブロックを生成するステップと、
前記ブロックの承認依頼を前記プライベートノード群を構成する他のプライベートノードに送信するステップと、
前記他のプライベートノードのうちの少なくともいずれかから承認結果を受け取るステップと、
前記他のプライベートノードのうちの所定の数により承認が得られたことを条件に前記ブロックを確定させてブロックチェーンに追加するステップと
を含み、
ブロックの新たな承認依頼は、前記プライベートノード群を構成する他のプライベートノードにおけるブロックの確定がなされるまで待機することを特徴とする処理方法。
今日のみどころ
ブロックチェーンのネットワークに、取引専用のパブリックノードと、記録専用のプライベートノードを混在させることで、記録の信頼性を向上することができます。ハイブリッド型です。
ブロックチェーンのコア技術はすでに確立されていますが、その応用や改良がこれからどんどんなされていくと思います。ブロックチェーンを基本として、少しの工夫で課題を解決できれば、特許が取れる可能性があります。挑戦してみてはいかがでしょう。