ブロックチェーンを使って安全に宅配ボックスで荷物を受け取る特許発明(エアリアルラボ)を紹介

図1

 今回は、宅配ボックスに関する特許発明を紹介します。

  従来、宅配業者からの荷物を保管する宅配ボックスにセキュリティなどの問題がありました。

 この発明では、荷物の保管、荷物の受取の記録をサーバのネットワークで管理します。サーバのネットワークの一例はブロックチェーンです。これにより、配送業者から受取人への荷物の配送が安全になされます。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

宅配業者からの荷物を保管する宅配ボックスにセキュリティなどの問題

 宅配業者からの荷物を住宅で受け取るための宅配ボックスが利用されています。

 荷物の受取人が不在の場合、宅配業者が宅配ボックスに荷物を入れておき、あとで受取人が宅配ボックスうから荷物をうけとることができます。

 しかし、住宅の住居者以外が利用できず、また、宅配ボックスの利用についてセキュリティ上の問題もありました。

荷物の保管、荷物の受取の記録をサーバのネットワークで管理

図8

 この発明の配送システムでは、配送業者が保管場所(保管BOX)に荷物を保管すると、保管場所の情報や受取人の情報をサーバに送信します。サーバは、受け取った情報をネットワーク上で共有します。

 その後、受取人が荷物を受け取るときには、受取人の認証によって受取人が正当であることを確認できると、保管BOXを解錠します。そして、荷物が受取人に受け渡されると、保管場所の情報や受取人の情報をサーバに送信して、ネットワーク上で共有します。

 単に施錠から解錠までの管理だけでなく、解錠した後に受取人による受取の記録もサーバで管理するのが従来技術との違いです。

ブロックチェーンによって荷物の保管や荷物の受取の記録を管理

図11

 保管場所の情報などをネットワーク上で共有するのに、一例としてブロックチェーンが使われます。

 ブロックチェーンに格納されるデータの形式もある程度詳しく書かれているので、参考になります。
 
 ブロックチェーンを使うと、記録された情報を後から改ざんすることが実質的に不可能になります。そのため、記録を改変するなどの不正から情報を守ることができます。

 このように、配送業者から受取人への荷物の配送が安全になされます。

 特許第6363278号 株式会社Aerial Lab Industries
 出願日:2017年8月7日 登録日:2018年7月6日

【課題】
安全に荷物の受渡ができる配送方法を提供することを一つの目的とする。
【請求項1】
 互いにネットワークを介して接続された管理サーバとユーザ端末と配送者端末と保管場所端末とを利用した対象物の配送方法であって、
 配送者が前記対象物を保管場所に保管した際に、前記配送者端末が、前記保管場所端末から保管BOXに関するBOX識別子を取得し、当該BOX識別子と前記対象物に関する対象物IDと前記配送者のIDと前記対象物の受取人のユーザIDと預入時刻に関するタイムスタンプとを含む預入完了通知を前記管理サーバに送信するステップと、
 前記管理サーバが、前記預入完了通知に含まれる情報を関連付けて特定のネットワークにブロードキャストして共有するステップと、
 前記ユーザ端末が、前記管理サーバに認証リクエストを送信するステップと、
 前記管理サーバが、前記認証リクエストの正当性を前記特定のネットワークに問い合わせて検証し、正当性がある場合に前記保管BOXを解錠するステップと、
 前記対象物が前記受取人に受渡完了した際に、前記ユーザ端末が、前記配送者のIDと前記対象物IDと前記BOX識別子と前記ユーザIDと受取時刻に関するタイムスタンプとを含む受渡完了通知を前記管理サーバに送信するステップと、
 前記管理サーバが、前記受渡完了通知に含まれる情報を関連付けて前記特定のネットワークにブロードキャストして共有するステップとを含む、
配送方法。

今日のみどころ

 配送業者から配送される荷物の受け渡しの記録にブロックチェーンを使うアイデアです。

 最近、ビットコインなどの仮想通貨でブロックチェーンが有名になり、一方で配送業者の荷物の再配達の負担を減らすことも話題になっています。その2つを結び付けてこの発明に至ったということだと思います。

 最近の技術のトレンドを知って、技術を検討して、早めに特許を取ってしまうという戦略は良いと思います。実際の製品の設計とか、プログラムの設計とかをしなくても特許はとれますので。

 そして、後で製品の設計などをするときに生まれた発明は、そのとき出願すれば大丈夫です。