地震などの災害時にドローンが撮影した画像を収集できる特許発明(エアリアルラボ)を紹介

図1

 今回はドローンによる撮影に関する技術の特許を紹介します。

 従来、地震などの災害時に広範囲の情報を取得するのが難しいという問題があります。

 この発明では、地震などの災害発生時にネットワークを構築してドローンを飛行させて情報を取得します。これにより、災害時に広範囲の情報を収集することができます。

 特許第6343366号 株式会社Aerial Lab Industries
 出願日:2017年4月21日 登録日:2018年5月25日



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

災害時に広範囲の情報を取得するのが難しい

 地震などの災害時には、広範囲の静止画又は動画などの情報を収集することが必要になります。

 従来は、航空機を利用して災害時に容易かつ迅速に情報収集を行うシステムがありました。

 しかし、広範囲の情報を迅速に集めるには改善の余地がありました。

災害発生時にネットワークを構築してドローンを飛行させて情報を取得

図5

 この発明の情報伝達システムでは、地震などの災害が発生したときに、ドローンなどの無人飛行体を使って情報収集をします。

 この発明では、前提として、ドローンの飛行エリアとなる位置に無線ネットワークの基地局が電源OFF状態で配備されています。ドローンの飛行エリアは、例えば、高速道路沿いなどのエリアです。無線ネットワークは、LPWA(*1)ネットワークです。

 そして、地震などの災害が発生したことを示す情報を入手すると、基地局の電源をONすることで無線ネットワークを利用可能にします。その後、ドローンは、飛行エリア内でカメラで撮影することで静止画又は動画を生成して無線ネットワークを介してサーバに送信します。

 ドローンは、無線ネットワークの基地局ごとに関連付けられています。そして、例えば取得すべき情報量が多いときには基地局に関連付けられたドローンの台数を増加させる制御も行われます。

 これにより、地震などの災害時にドローンを使って広範囲の静止画又は動画などの情報を収集することができます。


*1 LPWA: Low Power Wide Area (省電力広域無線技術)具体例は、SIGFOX、LoRaなど

【課題】
広範囲の情報を迅速にに集めるための技術を提供する。
【請求項1】
 情報伝達のための方法であって、
 特定領域におけるネットワークを管理する非常時信号受信装置と;前記ネットワークを介して互いに通信可能に接続された複数の無人移動体及び管理サーバと;を含み、
 非常時信号を受信した前記非常時信号受信装置が、前記ネットワークを利用可能にするステップと、
 前記無人移動体が前記特定領域内で取得した少なくとも静止画又は動画のいずれかと、それを取得した地点の位置情報とを前記ネットワークを介して、前記管理サーバに送信するステップと、を含む
方法であって、
 前記特定領域は、複数の基地局領域を有しており、
 前記無人移動体を前記基地局領域毎に関連付けられるステップと、
 前記基地局領域の広さ、取得すべき情報量、取得までに要請される時間に応じて、当該基地局領域内の前記無人移動体の台数を増加させるステップと、
 一の前記基地局領域に関連付けられた前記無人移動体を、隣接する他の前記基地局領域に事後的に関連付けられるステップとを更に含む、
方法。

今日のみどころ

 カメラを搭載したドローンを利用して、地震などの災害時の映像を撮影して無線ネットワークで収集する。ドローンの使い勝手がよくなってこんなこともできるようになりますね。

 既存技術をうまく組み合わせた感じの構成になっていると思いますが、課題を解決して新しい価値を提供できればちゃんと特許される良い例だと思います。