無線LANとNFCを併用した通信でのファイル転送の無駄を防ぐ発明 キヤノン

 ファイル転送が途中で切断されると無駄になるという問題を解決する発明です。

 この発明の通信装置は、例えば無線LANとNFCの2つの無線通信をします。NFCの通信が切断されたときに、ストリーミングをしている場合には無線LANの通信を切断せず、ファイル転送をしている場合には無線LANの通信を切断します。これにより、ファイル転送が途中で切断されることを回避できます。

 特許第5843453号 キヤノン株式会社
 出願日:2011年3月9日 登録日:2015年11月27日

ファイル転送が途中で切断されると無駄になる問題

 2つの通信規格の無線通信を行うことで、近くにある通信装置とのみ通信をするシステムがあります。例えば、赤外線と無線LANの2つの無線通信を行い、赤外線通信できる範囲内にある通信装置と無線通信でデータのやりとりを行います。

 このような通信は、赤外線通信ができる通信装置との間でだけ、無線LANの通信を許容するようにして実現されます。

 しかし、無線LANでのデータ通信中に赤外線通信が切断された場合には、無線LANでのデータ通信が切断されます。データ通信がファイル転送であった場合には、途中まで行われたファイル転送が無駄になってしまうという問題がありました。

ストリーミングでは切断せず、ファイル転送では切断する

 この発明の通信装置は、2つの通信規格の無線通信(具体例は、NFCと無線LAN)で通信可能な通信装置で、NFCでの通信が可能な通信装置との間で無線LANでのデータ通信をする装置です。

 そして、NFCでの通信が切断された場合、無線LANで通信しているデータの形式に応じて、無線LANでの通信を切断するか、切断を制限するか(つまり切断しないか)が決定されます。

 具体的には、ファイル形式での通信がなされている場合には切断せず、ファイルの終わりまでデータの転送を継続するように制御されます。また、ストリーミング形式での通信がなされている場合には切断するように制御されます。

 これにより、ファイル形式での通信の途中に通信が切断された場合に、途中まで転送された無駄なファイルが生成されるのを抑制することができます。

【課題】
第1の通信方式による他の通信装置との接続が切断された場合、第2の通信方式によるデータ通信に応じて、第2の通信方式による通信の切断を制限することを目的とする。
【請求項1】
 通信装置であって、
 近接無線通信である第1の無線通信方式により他の通信装置と通信する第1通信手段と、
 前記第1の無線通信方式より通信速度が速い第2の無線通信方式により通信する通信手段であって、前記第1通信手段による前記他の通信装置との接続に応じて、前記第2の無線通信方式により前記他の通信装置と接続し、前記第1通信手段による前記他の通信装置との通信の切断に応じて、前記第2の無線通信方式による前記他の通信装置との通信を切断する第2通信手段と、
 コンテンツを示すデータが、通信が完了した後に処理が可能になるファイル形式で前記他の通信装置と前記第2通信手段により通信されている際に、前記第1通信手段による前記他の通信装置との通信が切断した場合、前記第2通信手段による前記他の通信装置との通信の切断を制限する制限手段と、を有し、
 前記コンテンツを示すデータが、前記他の通信装置においてストリーミング再生される形式で前記他の通信装置と前記第2通信手段により通信されている際に、前記第1通信手段による前記他の通信装置との通信が切断した場合、前記第2通信手段は、前記他の通信装置との通信を切断する
 ことを特徴とする通信装置。

今日のみどころ

 この発明の利用例としてはデジカメとデジタルフォトフレームとの通信が想定されています。近接した通信相手との間で大きな容量のデータのやりとりをしようとするとき、近距離しか通信できないというNFCの特徴を、通信相手の特定に利用しています。また、大容量のデータのやりとりができるという無線LANの特徴も生きています。

 ベースとなる通信の仕方が特徴的なので先行技術も少なかったのではないかと推察します。

 なお、「第1の~」「第2の~」というように具体的な通信種別を書かない方法で請求項1が書かれています。特許ではよくある便利な書き方です。一見分かりにくいですが、それほど難しいことが書かれているわけではないです。分かりにくければ明細書を参考にしながら理解しましょう。ちなみに、ここでは第1通信手段がNFCで、第2通信手段が無線LANです。