車載ネットワークの空きタイミングを予測して遅延を低減する発明 トヨタ

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 車載ネットワークでの通信メッセージ(以降「メッセージ」)の送信方法に関する発明です。この発明の通信装置は、ネットワークを監視し、ネットワーク上にメッセージが流れているタイミングを取得します。
 そして、取得したタイミングに基づいて今後にネットワークにメッセージが流れないタイミングを予測し、その予測したタイミングにメッセージを送信します。これにより、メッセージの送信タイミングを他の通信装置とずらすための調停(アービトレーション)が生じることを抑制し遅延を低減します。

 特許第5843020号(WO2014/045354) トヨタ自動車株式会社
 出願日:2012年9月19日 登録日:2015年11月27日



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送信タイミングを遅らせる調停処理により遅延が発生

 車載ネットワーク(例えばCAN)には複数の機器(ECU)が接続され、この複数の機器が車載ネットワークを通じて相互にメッセージのやりとりを行います。複数の機器それぞれは、通常、他の機器によるメッセージの送信とは無関係に自装置の送信タイミングを決定します。
 しかし、この方法では、メッセージの送信タイミングが他の機器と重なる場合に、その一方のメッセージの送信を遅延させるための調停とよばれる処理が行われます。これによりメッセージの送信遅延が生ずるという問題があります。

空きタイミングを予測して送信することで遅延の増加を抑制

 そこで、この発明の通信装置は、ネットワークを監視し、ネットワーク上にメッセージが流れているタイミングを取得します。そして、取得したタイミングに基づいて今後にネットワークにメッセージが流れないタイミング(空きタイミング)を予測します。予測の方法としては、一例として、過去のある期間を複数のタイムスロットに分けて、各タイムスロットでの通信の有無のパターンを取得し、それと同じパターンが今後に現れると予測します。
 そして、通信装置は、上記で予測したタイミングにおいてメッセージを送信します。これにより、調停の処理が行われないようにすることで遅延を低減します。

【課題】
 バス負荷が高いときであれ、通信メッセージの送信にかかる遅延を低減させることのできる通信装置及び、該通信装置に用いられる通信方法を提供する。
【請求項1】
 通信メッセージが伝送される通信回線に、通信メッセージを送受信可能に接続される通信装置であって、
 前記通信回線に通信メッセージが流れているタイミングを一定の検出期間にわたって検出し、その検出結果を当該検出期間の利用状況データとして取得する検出部と、
 前記取得した検出期間の利用状況データに基づいて、前記通信回線に通信メッセージが流れていない空きタイミングを予測する予測部と、
 前記予測した空きタイミングで通信メッセージを前記通信回線に送信する送信部と、を備え、
 前記検出期間には、周期的に連続する複数の判定期間が含まれ、
 前記検出部は、前記判定期間毎に、前記通信回線に通信メッセージが流れているタイミングを繰り返し検出し、
 前記予測部は、前記利用状況データに含まれる判定期間のうちの一の判定期間の検出結果に基づいて、当該一の判定期間に対応する次の検出期間の空きタイミングを予測する
 ことを特徴とする通信装置。

今日のみどころ

 車載ネットワークは車両の駆動系などのさまざまな制御に用いられるものであるので、ネットワークでの通信遅延を抑制することが必要です。そのために、遅延の増大の要因となる調停の処理が実行されることを回避することで通信遅延を抑制するのがこの発明のポイントです。
 なお、送信タイミングの予測の方法は、上記に示した単純なものや、過去2回分の送信タイミングの情報を利用するやや複雑なものが開示されています。予測の仕方に新たな工夫をするのもおもしろそうです。