IPv4とIPv6のアドレス変換処理の方法に関する発明です。
このアドレス変換処理方法では、エッジ装置のIPv6インタフェースに設定されるIPv6アドレスのうちの一部(余剰フィールド部分)に、このエッジ装置固有の値が設定されます。そして、IPv4端末がIPv6サーバ宛にパケットを送信すると、エッジ装置は、IPv6アドレスのうちの別の一部分に端末のIPv4アドレスを格納したIPv6パケットを生成してサーバに送信します。
これにより、IPv6サーバは、同一のIPv4アドレスを有する複数のIPv4端末に同時並行的にサービス提供することができます。
特許第5843707号(特開2014-7510) 日本電信電話株式会社
出願日:2012年6月22日 登録日:2015年11月27日
1つのIPv6サーバと、同一IPv4アドレスを有する複数の端末との通信が不可
IPv6ネットワーク内に配置されているIPv6サーバが、このネットワーク外のIPv4端末に対してサービス提供する場合には、IPv6とIPv4との間のアドレス変換処理が必要です。また、IPv4アドレスではプライベートアドレスを用いる方法により、閉じたネットワーク内において、他の閉じたネットワークと同一のアドレス体系を用いることができます。
すると、1つのIPv6サーバと、同一IPv4アドレスを有する複数の端末とを接続して通信したい要求が生じます。従来技術では、上記のようなIPv6サーバと各IPv4端末との通信を実現することができませんでした。
エッジ装置固有の固有値とIPv4端末アドレスとを格納したIPv6パケット
そこで、この発明のアドレス変換方法では、IPv6ネットワークのエッジ装置によるIPv6とIPv4との間のアドレス変換処理に工夫がされています。エッジ装置のIPv6ネットワーク側インタフェースには、このエッジ装置固有の値がIPv6アドレスのうちの一部分(余剰フィールド部分)に設定されます。
IPv4端末からIPv6サーバへの通信パケットをエッジ装置が受信すると、IPv4端末のアドレスがIPv6アドレスのうちの別の一部分に格納された新たなパケットが生成されます。このパケットがIPv6サーバへ到達し、その応答がエッジ装置に帰ってきます。この応答パケットに対して先ほどと反対の操作をしてIPv4端末への応答パケットを生成してIPv4端末に送信します。これにより、同一IPv4アドレスが付された複数のIPv4端末とIPv6サーバとの同時並行的な通信が可能になります。
それぞれ異なるエッジ装置に接続された複数の端末に、同一のIPv4アドレスを払い出すことを可能とするIPv4-IPv6変換処理方法等を提供する。
【請求項1】
IPv6アドレスに基づくネットワークシステムは、複数のエッジ装置を備え、
前記エッジ装置は、それぞれIPv4アドレスに基づいて通信する端末を接続し、
前記エッジ装置の変換処理部は、
当該エッジ装置に付与されているIPv6アドレスの余剰フィールド部分に対応する固有の余剰フィールド値と前記端末から送信されたIPv4パケットの送信元アドレスとに基づいて、IPv6の送信元アドレスを生成し、
前記ネットワークシステムの装置に付与されているIPv6アドレスの余剰フィールド部分に対応する共通の余剰フィールド値と前記IPv4パケットの宛先アドレスとに基づいて、IPv6の宛先アドレスを生成し、
生成した前記IPv6の送信元アドレスと前記IPv6の宛先アドレスとから、IPv6パケットを生成して、当該ネットワークシステムの装置に送信する、
ことを特徴とするIPv4-IPv6変換処理方法。
今日のみどころ
IPv6が使われ始めてからずいぶんと年月が経過しています。通信事業者内のネットワークなどではIPv6アドレスでの通信が行われていると思いますが、オフィス内などの閉じたネットワークでは当面IPv4アドレスが使われると思います。単純なIPv4アドレスとIPv6アドレスとの変換は簡単ですが、少し複雑な構成を実現しようとしたり、付加価値をつけようとしたりすると少々難しいネットワーク構成をとる必要が生じることもでてきます。
このような場面で課題を見つけて解決することが発明につながります。なお、将来はIPv6オンリーの環境に移行していくと思いますが、当面はIPv4との併用がなされると思います。最近はIPv4とIPv6との共存に関する技術開発は多くはないと思いますが、今後も生まれていくでしょうね。