【特許紹介】業務用ゲーム装置の本人認証のときに本人が施設内にいることを確認して成り済ましを防ぐ特許発明(セガゲームス)を紹介

 今回は、業務用ゲーム装置に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、ゲームカードの本人認証だけでは成り済ましの可能性があるという問題があります。

 本発明では、ゲームカードの本人認証のときに近距離無線により本人が施設内にいることを確認します。これにより、他人が本人に成り済ましてゲームをプレイすることを防ぎます。



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ゲームカードの本人認証だけでは成り済ましの可能性がある問題

 ゲームセンター等にアーケードゲーム機(業務用ゲーム装置)が設置されています。アーケードゲーム機は、ゲームのプレイごとにコインを受け入れるなどしてゲームの料金を徴収します。

 近年は、電子マネーを利用してゲームの料金を徴収することもあります。

 従来、ゲームカードを使用し、ゲームカードに記録されているプレイヤIDにより本人認証をして、電子決済によってゲーム料金の徴収をすることが可能になっています。

 しかし、ゲームカードを使用したプレイヤIDによる本人認証では、成り済ましが行われる可能性があるという、セキュリティ対策上の問題があります。

ゲームカードの本人認証のときに近距離無線により本人が施設内にいることを確認


 このゲームシステムでは、成り済ましを防ぐことでセキュリティ対策をします。

 前提として、ユーザは、携行品に付された近距離無線通信の発信機を所持しています。発信機は識別子(第1識別子)を繰り返し発信しています。

 ゲームシステムは、ユーザが所持している発信機が発信する第1識別子を受信する近距離無線リーダをもっています。第1識別子を受信したということは、ユーザが施設内にいるということを示しています。

 また、ゲームシステムに含まれているゲーム装置は、ユーザの携行品以外から識別子(第2識別子)を読み取ります。

 そして、ゲームシステムは、第2識別子を読み取った時ときに、ユーザが施設内にいる(つまり第1識別子を受信している)ならば、電子決済によりプレイの料金の決済を求めます。

 このようにすることで、ユーザが施設内にいることを確かめたうえで、ゲーム料金の徴収をすることができるので、成り済ましを防ぐことでセキュリティを向上することができます。

 特許第6604450号 株式会社セガゲームス
 出願日:2019年3月28日 登録日:2019年10月25日

【課題】
ゲームシステムにおけるセキュリティ対策を簡便にするための技術を提供する。
【請求項1】
 一または複数の情報処理装置を含み、
 ゲーム装置と通信ネットワークを介して接続され、
 前記ゲーム装置が設置された施設内に設けられ、前記ゲーム装置の設置場所を通信範囲に含むセミパッシブ方式またはアクティブ方式の近距離無線リーダが、ユーザ携帯品に付された前記セミパッシブ方式または前記アクティブ方式の近距離無線発信器から繰り返し発信される第1識別子を受信している間、前記第1識別子に対応する前記ユーザ携帯品の所有者が前記施設内に滞在中であると判定する判定部と、
 前記ゲーム装置から、プレイを要求するユーザが保持する前記ユーザ携帯品以外の記憶媒体から読み取られた第2 識別子を受信したときに、前記第2 識別子に対応する前記ユーザが前記施設内に前記滞在中であると判定されていることを条件として、前記ユーザの電子決済手段による前記プレイの料金の決済を求める決済要求部と、の各々を前記一または複数の情報処理装置のいずれかにおいて備えることを特徴とするゲームシステム。

今日のみどころ

 ゲーム機のプレイ料金の聴取の際の成り済ましを防ぐ発明で、従来のゲームカード(プレイヤID)を用いるのに加えて、近距離無線でプレイヤが施設内にいることを確認することがポイントです。

 近距離無線は、その通信内容以外にも、近居無線の通信相手が近くにいるということを確認するという用途で使うことができます。そのあたりを上手に利用した発明であると言えると思います。請求項の記載も上手だと思います。良い特許だと思います。