【特許紹介】ユーザの興味を引くように報酬情報の表示制御ををするゲームの特許発明(バンダイ)を紹介

 今回は、ゲームにおける表示に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、ゲームにおいてユーザの興味を引く表示をすることが求められています。

 本発明では、ユーザの興味を引くように報酬情報の表示を制御します。これにより、報酬情報の表示の制御によって、プレーヤの興趣性を向上させることができます。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

ゲームにおいてユーザの興味を引く表示をする

 スマートフォン上で動作するゲームがあります。このようなゲームでは、キャラクタなどの仮想オブジェクトがユーザに割り当てられます。

 このようなゲームにおいて、ユーザの興趣性を高める表示をすることが求められています。

 興趣性とは、趣き、興味、おもしろみなどの意味です。ユーザの興趣性を高めるというのは、ユーザの興味を引くというような意味です。

ユーザの興味を引くように報酬情報の表示を制御

 この発明のプログラムは、ユーザ(プレーヤ)が取得する報酬に関する報酬情報を、プレーヤの興趣性を向上させるように表示します。

 ゲームは、なんでもよいのですが、ここでは、仮想的なカードを使って相手と対戦をするゲーム(トレーディングカードゲーム)が例として挙げられています。

 このゲームにおいて、ある対戦の勝敗が決定した後に、報酬情報を表示するための表示制御をします。

 報酬情報は、プレーヤに報酬が与えられる可能性があることを示す情報であり、例えば、「このまま次の対戦を開始するとカードゲットの可能性があります」というような文字列を含む表示です(図14)。

 表示制御では、報酬情報を表示するか否かを確率によって制御します。確率は、プレーヤがログインしているときにログインしているプレーヤ数や、そのプレーヤの対戦数などによって変動するようにできています。

 このようにすることで、報酬情報の表示の制御によって、プレーヤの興趣性を向上させることができます。

 特許第6820644号 株式会社バンダイ
 出願日:2020年2月17日 登録日:2021年1月7日

【課題】
ユーザの興趣性を高める情報を表示する。
【請求項1】
 ゲーム要素を使用して行うゲームをコンピュータに実行させるプログラムであって、前記プログラムは、
 プレーヤが実行した第1 の対戦の勝敗決定後に、前記プレーヤが前記ゲームからログアウトせずに前記第1 の対戦に連続して行われる第2 の対戦を前記プレーヤが少なくとも実行することによって、プレーヤが保有するアイテムのデータ、ゲーム内の通貨、イベントのチケットのデータ、経験値のデータ、及びゲーム内で用いられるポイントの少なくともいずれかが報酬として付与される可能性があることを示す報酬情報を、前記プレーヤのログイン時にログインしているプレーヤ数、前記プレーヤの対戦数、前記プレーヤの対戦の勝利数又は敗北数、前記プレーヤのレベル又は前記プレーヤが所属するクラスの少なくともいずれかによって変動する確率に応じて表示するか否かの表示制御を行う表示処理
をコンピュータに実行させるプログラム。

今日のみどころ

 簡単にいうと、ユーザの興味を引くような表示をする発明で、ポイントは、報酬情報の表示を確率で制御するということです。

 ゲームの中の技術は、上手に書かないと発明と認められない場合があります。発明と認められないと、新規性や進歩性までいかずに拒絶されてしまいます。

 ゲームの中の技術を上手に権利化するためには、そのような分野の経験を持っている弁理士(特許事務所)に依頼するのが得策ですね。