今回は、物品に取り付けられたRFタグから値段などの情報を読み取る読取装置に関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、フタがあるRF読取装置は利便性が低いという問題があります。
この発明では、読取装置が、上向きの開口があるシールド内でRFタグから情報を読み取ります。これにより、他の読取装置との電波の干渉を抑えながら、利便性の低下を防ぎます。
フタがあるRF読取装置は利便性が低い問題
従来、RFIDを使った会計システムがあります。このような会計システムでは、商品に取り付けられたRFタグから値段などの情報をリーダライタで読み取ってレジスターで会計処理をします。
例えばリーダライタは会計カウンタの板の上に設置されています。その場合、放出した電波が他の会計装置にとどいてしまったり、反対に、他の会計装置からの電波を読み取ってしまったりして不具合が生ずることがありました。
また、フタがある読取装置もあります。フタが閉じられた状態でRFタグを読み取ることで、上記不具合を防止することができます。
しかし、フタがある読取装置だと、フタをあけて商品を入れ、また、フタを開けて商品をとりだす必要があり、利便性が低いという問題があります。
上向きの開口があるシールド内でRFタグから情報を読み取る
この発明の読取装置は、アンテナと、アンテナを収容するシールド部とを備えています。
シールド部は、物品より広い、上向きの開口があります。また、シールド部は、電波を吸収する電波吸収層、または、電波を反射する電波反射層を備えています。
そして、シールド部の中に入れられた物品に取り付けられているRFタグをアンテナによって読み取ります。
このようにすると、アンテナの電波が上向きに放射され、また、上からの電波だけをアンテナが受信するようにすることができます。仮に隣に読取装置があっても、その読取装置に電波が届かないようにすることができ、また、その読取装置からの電波を受けないようにすることができるので、不具合を防止できます。
フタが不要なので、フタの開け閉めが必要という利便性の低下もありません。
また、他のアイデアとして、シールド部が、物品を入れた買い物かごが出し入れできるようになっているというアイデアもあります。
特許第6469758号 株式会社アルタリスク
出願日:2017年5月9日 登録日:2019年1月25日
読み取り時の利便性を確保しつつ、電波の影響を低減した読取装置、及び情報提供システムを提供する。
【請求項1】
物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、
前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
前記アンテナを収容し、前記物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部と、
を備え、
前記シールド部が上向きに開口した状態で、前記RFタグから情報を読み取ることを特徴とする読取装置。
今日のみどころ
商品の値段などの情報を無線で読み取ることができ、お店での会計処理を短時間で済ませることができるようになります。そして他の読取装置との電波の干渉を防止することで、読み取りが正確にできるようになります。とても便利なシステムです。
このアスタリスクの特許は、ユニクロのセルフレジが侵害している可能性があるということで話題になっています。構成がシンプルなので、侵害しているかどうかの判断もそれほど難しくなさそう。特許を無効にするという反撃もなされているようです。
この特許は、少しずつ異なる請求項で分割出願が繰り返されています。こうやっていろいろな形に変化させながら権利を作りつつ、さらに違った形にできるように「生かしておく」戦略です。参考に、分割出願で特許になったものも以下に転載します。
なお、ここで掲載している請求項は、登録時の請求項です。登録後に訂正によって請求項が変わっていることもあります。最新の内容はJ-PlatPatでご確認ください。
分割出願
■分割出願1
特許第6518848号 株式会社アルタリスク
出願日:2019年1月16日 登録日:2019年4月26日
物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、
前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
前記アンテナを収容するシールド部と、
を備え、
前記シールド部は上向きに開口した状態で前記物品を入れた買物カゴを包囲可能且つ出し入れ可能に構成されており、当該状態を維持したままで前記R F タグから情報を読み取ることを特徴とする読取装置。
■分割出願2
特許第6541143号 株式会社アルタリスク
出願日:2019年4月19日 登録日:2019年6月21日
物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、
前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
前記アンテナを収容し、前記物品を囲み、該物品よりも広い開口が上向きに形成されたシールド部と、
を備え、
前記シールド部が上向きに開口した状態で、前記RFタグから情報を読み取り、
前記シールド部は、前記電波を吸収する電波吸収層と前記電波を反射させる電波反射層のいずれか一方または両方を含むことを特徴とする、読取装置。
■分割出願3
特許第6532075号 株式会社アルタリスク
出願日:2019年4月19日 登録日:2019年5月31日
物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置であって、
前記RFタグと交信するための電波を放射するアンテナと、
前記アンテナを収容し、上向きに開口したシールド部と、
前記シールド部の前記開口の上側に設けられ、前記物品が載置される載置部と、
を備え、
前記物品が前記載置部に載置された状態で、前記RFタグから情報を読み取ることを特徴とする、読取装置。