【特許紹介】エレベータの乗客の有無を画像から検出する特許発明(三菱ビルテクノ)を紹介

 今回は、エレベータの制御に関する発明を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、無線でエレベータを制御するとき、端末が故障すると運行を停止しなければならないという問題があります。

 この発明では、昇降路に配置された複数の端末からの電波で故障を判定します。これにより、端末の故障を特定することができます。



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エレベータのかごの乗客を誤判定する問題

 従来、エレベータに乗っている人(乗客)を検出するシステムがあります。

 このようなシステムでは、カメラがエレベータのかご内を撮影し、撮影した画像の差分に基づいて、乗客を検出します。

 しかし、時間の経過によってかごの内部の環境が変化する場合には、誤検出する可能性があるという問題があります。

2方向から撮影した画像を変換し、差分の有無で乗客を検出

 この発明では、かごの内部の環境が変化する場合でも、乗客を正しく検出することができます(誤検出を抑制できます)。

 具体的には、エレベータのかごに配置された2つのカメラが、異なる方向から床面を撮影します。

 2つのカメラが撮影した2つの画像を、撮影された画像に含まれる床面の範囲が重なるように変換(ホモグラフィ変換、レンズゆがみ補正)します。

 そして、その2つの画像における床面の範囲の画像に差があるかどうかによって、乗客の有無を判定します。具体的には、床面の範囲の画像に差分がある場合に乗客がいると判定します。

 これは、乗客がいない場合には、異なる方向から床面を撮影した画像に上記変換をするとほぼ同じになる一方、乗客がいる場合には、異なる方向から床面を撮影した画像に上記変換をすると差がでることを利用しています。

 このようにすることで、かごの内部の環境によらずに乗客を正しく検出することができます。検出結果は、例えば、乗客がいないときにかごの速度を高くしたり、エアコンの運転を停止したりする制御に用いられます。

 特許第6645642号 三菱電機ビルテクノサービス株式会社
 出願日:2019年5月30日 登録日:2020年1月14日

【課題】
かごの内部の環境が変化する場合においても乗客の誤検出を抑制できる乗客検出装置およびエレベーターシステムを提供する。
【請求項1】
 エレベーターのかごに設けられる第1カメラに撮影され前記かごの床面を含む第1画像、および前記かごに設けられる第2カメラに前記第1カメラと異なる方向から撮影され前記かごの床面を含む第2画像の入力を受け付ける入力部と、
 前記第1画像に含まれる前記かごの床面の範囲および前記第2画像に含まれる前記かごの床面の範囲が互いに形状および寸法の等しい範囲として重なるように前記第1画像および前記第2画像にホモグラフィ変換を行う変換部と、
 前記変換部によるホモグラフィ変換の後の前記第1画像および前記第2画像の互いに重なる前記かごの床面の範囲の差分に基づいて前記かごの内部の乗客の有無を判定する判定部と、
 を備えるエレベーターの乗客検出装置。

今日のみどころ

 エレベータの乗客の有無を画像から判断できる発明です。2方向から撮影した画像を変換して床面が一致すれば乗客がいないと判定できます。

 画像の変換と一致判定だけなので、けっこうシンプルな発明だと思います。請求項に余計な限定がないので、広い権利範囲を確保できていると思います。勉強になります。