【特許紹介】スポーツ中のアスリートのセンサデータを運動ごとに分類する特許発明(日立)

 今回は、アスリートの運動のデータに関する特許発明についてシェアします。

 従来、アスリートのセンサデータを分割するタイミングをとらえることができない問題があります。

 この発明では、スポーツ中のアスリートのセンサデータの特徴からインターバルを検出します。そしてインタバールを区切りとしてセンサデータを分割することができます。分割したデータはその後の評価に用いられます。



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アスリートのセンサデータを分割するタイミングをとらえることができない問題

 従来、スポーツや教育のためにアスリート、つまり運動している人の運動強度や速度などのデータを記録するシステムがあります。このシステムでは、アスリートの競技中の動きを記録して評価することができます。

 上記のシステムで取得されるデータには、一連の運動(トレーニング)をしたときのデータが含まれているので、運動ごとに分割し分類してから、アスリートの動きの評価に用いられます。

 しかし、従来の方法では、運動ごとに分割するためのタイミングを適切にとらえることができないという問題があります。

スポーツ中のアスリートのセンサデータの特徴からインターバルを検出


 この発明のシステムでは、スポーツをしているアスリートに取り付けられているセンサが取得したデータに含まれる運動量の変化のなかで、インターバルのときの運動量の変化の特徴に合致する区間を検出します。

 センサは、ユーザの腕などに装着されることが想定されています。例えば、腕時計型、または、リストバンド型です。

 例えば、サッカーのトレーニングでは、1分程度の間、運動強度が所定値以下になると、インターバルの区間として検出されます。

 そして、その区間をインターバルとして、スポーツをしているアスリートのセンサデータの全区間を区切り、運動ごとに分類します。

 このようにして、センサデータをトレーニングごとにまとめて、その後の評価に用いることができます。

 特許第6505614号 株式会社日立製作所
 出願日:2016年1月15日 登録日:2019年4月5日

【課題】
スポーツにおける複数のトレーニングを連続して行った際に、種類の異なるトレーニングの時間を分割するとともに、類似したトレーニングを種別ごとに分類する。
【請求項1】
 センサによりスポーツのトレーニングを行う際の運動を計測するセンサデバイスと、1つ以上の前記センサデバイスに通信接続される通信端末と、前記通信端末を介して前記センサが計測したセンサデータを取得するトレーニング分類サーバとを有し、
 前記通信端末は、
 前記センサデバイスが計測した前記センサデータを取得し、前記トレーニング分類サーバに転送するセンサデータ転送手段を備え、
 前記トレーニング分類サーバは、
 前記センサデータを取得し、取得したセンサデータを解析して運動の特徴を示す運動特徴量を算出し、連続する前記トレーニングの合間の時間であるインターバルにおける当該スポーツの前記運動特徴量の特徴に合致する区間を、前記インターバルとして検出し、トレーニング全体の区間を、前記インターバルで区切ることにより個々のトレーニング区間に分割し、分割された複数のトレーニング区間それぞれの前記運動特徴量を用いて、類似する特徴を有するトレーニング区間を同種類のトレーニング項目として分類し、時系列で連続した同種類のトレーニング項目を1つのトレーニング項目にまとめるようにして前記トレーニングを分類するトレーニング分類手段を備えること
 を特徴とするトレーニング分類システム。

今日のみどころ

 最近、アスリートに限らず、人の運動の量をさまざまなサービスに連携して生かす試みが増えてきています。例えば、運動量が所定以上の人の保険料が安くなる保険があったりします。こういうサービスにもこの発明が役立ちそうです。

 スマホやスマートウォッチなどの携帯端末で、センサのデータを常時取得して扱うことが普通にできるようになってきたこともあって、このようなサービスの連携もできるようになりましたよね。

 IT系以外のサービスでも、スマホやスマートウォッチにより取得できるいろいろなセンサデータと連携することを考えると、おもしろい特許ネタが浮かぶと思います。発想のトレーニングにもなります。