「テクニカルライティング」というキーワードが気になって『日本語テクニカルライティング』という本を読んでみました。
テクニカルライティングができるようになれば、論理的な文章で正しく相手に意図を伝えることができるようになります。そのためのポイントがわかります。
私は過去に企業の研究開発(エンジニア)をしていて国内や海外での学会発表をしたことがあります。現在は特許の書類の作成をする仕事していて、技術文書との付き合いが長いです。とくに特許の書類は、論理性や正確さが高いレベルで求められます。
この記事では、『日本語テクニカルライティング』のポイントを、私も重要と思っているポイントに絞って紹介します。
ではいきましょう。
技術文書を書くときに注意すべきことが盛りだくさん
「テクニカルライティング」というキーワードが気になって『日本語テクニカルライティング』という本を読んでみました。
マニュアルや仕様書などの技術文書には独特のコツがあるといい、すぐに役立つ情報とその要点を具体例を挙げて説明しています。テクニカルライティングの事例集のような感じがあります。
実際に読んでみたところ、確かに、技術文書を書くときに注意すべきことが盛りだくさん。盛りだくさん過ぎてかなりのボリュームになっています。
『日本語テクニカルライティング』を読んで大事と思った3ポイント
盛りだくさんの内容なのでとうてい全部を紹介しきれませので、私が重要と思ったところだけ紹介します。ほかにもいろいろなポイントが含まれているので、気になる方はぜひ入手してみてください。、
『日本語テクニカルライティング』の内容で、私も普段から気になっている、そして、気をつけているポイントは以下の3つ。
- 引用と転載のルール
- 長い文の欠点と一文一義主義の活用
- あいまいな表現を皆無にする
これらについて、私の考えも含めて紹介します。
引用と転載のルール
最近は文書が電子データになっていることがほとんどなので、やろうと思えば、別の文書からのパクリ、つまり引用や転載も簡単にできてしまいます。
でもやってしまうと著作権などの問題になってしまう。実際にいくつも事件が起きましたね。
結構大きな事件になってしまったので、引用や転載をすること自体が悪いかのような印象をもったり、何か言われたら怖いから引用や転載をしないようにしている人もいるかも。でもそれはもったいないです。
引用や転載は、本来、文章構成のテクニックでもあるので、必要に応じて上手に利用するのがよいと思います。他の文献を引き合いにだして、自分の主張をすることができます。
自分の主張と同じ方向性の引用をするのもよし。反対の方向性の主張をするのもよし。
『日本語テクニカルライティング』では、著作権法を参照して引用や転載についてどのようにすればよいか解説されています。
例えば引用は、著作権法上「公正な慣行に合致するもの」であり「引用の目的上正当な範囲内」で認められると規定されていることを示し、具体的な記載についても説明されています。
やり方がわかれば安心して引用や転載をすることができますよ。参考になります。
長い文の欠点と一文一義主義の活用
用語に修飾語をつけたり、複数の事柄をいっぺんに主張しようとしたりすると、一つの文章が長くなっていきます。これはよくあること。
長い文の欠点は、主部と述部がわかりにくくなってしまったり、おかしくなってしまったりすることです。
『日本語テクニカルライティング』では、文章が長くなってしまう原因を分析しつつ、短く書く方法を具体例を挙げて説明しています。あまりいろいろなことを盛り込まずにシンプルに文章を構成します。一文一義主義という言葉で説明しています。
長くなってしまった文章は、一例として、箇条書きにするなどして意味を整理して、複数の文章にわけるのが解決策として挙げられています。具体例があるので参考になります。
あいまいな表現を皆無にする
日本語のあいまいな表現にはいくつかの代表的なパターンがあります。これは私も感じていました。
私は特許の書類を作成する仕事をしている中で、クライアントから受け取った原稿の記載を整えることもします。
受け取った原稿は、発明者である技術者が書いたもので、意味があいまいな表現が含まれていることも多いです。特許技術者は、「本当はこういうことを言いたいんだろうな」という意図を汲んで、あいまいさがない表現に修正していきます。
あいまいな日本語は、日本語としての解釈が正しくできないだけでなく、翻訳するときにも困るからです。
『日本語テクニカルライティング』では、あいまいな表現の16個のパターンを紹介しつつ、その解決策も提案しています。
とくに『(8)かかりの位置を明確に』、『(9)形容詞+名詞+名詞の形の書き方』、『(14)「~のように」+否定の形を使わない』は、私もつねづね気にしていたことで共感が大きいところです。
解決策の具体例もあり参考になります。
まとめ
『日本語テクニカルライティング』は、テクニカルライティングの事例集のような感じがあります。なので全体を通して読むというよりは、まず全体を把握しておき、あとで必要なところを参照できるようにしておくという使い方がよさそうです。
ボリュームが大きいので、初めからじっくり読み始めると途中で力尽きてしまうと思います。
そうならないように、まずは目次を眺めることで全体を把握しましょう。そのあと、気になったところを少しずつ見て使っていく。また、仕事や生活のなかで「あれこの表現て、、」って思ったときに読み直すというような使い方がおすすめかな。上手に利用しましょう。
今日のみどころ
『日本語テクニカルライティング』の書籍の紹介をしました。
テクニカルライティング系の本は他にもあるので、私自身、もっと勉強していきたいと思います。