【特許紹介】蓄電素子のネットワークユニットが安全に保守端末と接続する特許発明(GSユアサ)を紹介

 今回は、蓄電池の保守に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、蓄電池のネットワークユニットに保守端末を安全に接続される必要性があります。

 本発明では、切り替えスイッチと起動動作を用いて、接続するネットワークを切り替えます。このようにすることで、保守端末との通信を、より安全に接続させることができます。



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蓄電池のネットワークユニットに保守端末を安全に接続される必要性

 蓄電池の蓄電素子を含むシステムをネットワーク経由で保守することが行われています。

 従来、保守作業者が持参した情報端末を無線通信を介してネットワークユニットに接続し、システムに記憶されたデータを取得する、という形態の保守システムがあります。

 この場合、ネットワークユニットと保守作業者の情報端末との通信を、安全に接続させる必要があります。

切り替えスイッチと起動動作を用いて、接続するネットワークを切り替え


 この発明の、蓄電装置に取り付けられるネットワークユニットは、保守端末との通信を、より安全に接続させることができます。

 ネットワークユニットは、第1通信部、第2通信部、第3通信部の3つの通信部をもっています。

 第1通信部は、蓄電素子の状態を示す状態データを、測定ユニットから受信します。

 第2通信部は、特定のネットワークに接続されています。第2通信部が接続される特定のネットワークは、例えば、蓄電池が接続されているローカルエリアネットワークです。

 第3通信部は、第2通信部が接続されている特定のネットワークとは独立したネットワークに接続されています。第3通信部が接続されるネットワークは、例えば、保守端末に接続されるネットワークです。

 そして、ネットワークユニットは、切り替えスイッチの状態に応じて、第2通信部から状態データを送信します。さらに、切り替えスイッチがある状態でネットワークユニットが起動した場合に、第3通信部によって特定の通信装置との通信をします。

 このようにすることで、ネットワークユニットは、切り替えスイッチを用いて、保守端末との通信を、より安全に接続させることができます。

 特許第7044135号 株式会社GSユアサ
 出願日:2020年6月29日 登録日:2022年3月22日

【課題】
ネットワークユニットと保守作業者の情報端末との間の通信を、より安全且つ円滑に接続させる。

インターネットに接続するための公衆通信回線の電波が届かない場所に、無線LAN環境を構築して作業の利便性を向上する。
【請求項1】
 蓄電素子の状態を測定するユニットから状態データを受信する第1通信部と、
 特定のネットワークを介して通信する第2通信部と、
 前記特定のネットワークと異なり、前記特定のネットワークと相互に独立したネットワークで通信してデータを送受信する第3通信部と、
 切替スイッチを含む操作部と、
 第1通信部から第3通信部による通信を制御する制御部と
 を備え、
 前記制御部は、前記切替スイッチの状態に応じて、前記特定のネットワークにおける設定に従って前記第2通信部から前記状態データを送信し、
 前記制御部は、前記切替スイッチの状態が所定の状態で起動した場合、前記第3通信部によって特定の通信装置との間で通信接続する
 ネットワークユニット。

今日のみどころ

 ネットワークユニットが、切替スイッチのスイッチ状態と、起動の動作を用いて、接続するネットワークを切り替えるという発明です。一見、従来からある技術なようにも思ってしまいましたが、ネットワーク機器が、物理的な切り替えスイッチに応じて動作を変えるのは、あまり一般的ではないような気もしてきます。

 従来からあるのか、そうでもないのか、先入観で判断するのはよくないですよね。大事な技術はしっかり権利をとって保護しましょう!