今回は、体内に入るセンサについての発明を紹介します。
従来、人の体内で継続的に情報収集をすることが困難でした。
この発明は、人の食事と一緒に体内に入る食事型センサの発明です。食事型センサは、人の体内に入ると検知を開始します。これにより、人の体内の情報を効率的かつ継続的に収集することができるようになります。
特許第6248326号 国立大学法人東北大学
出願日:2013年10月18日 登録日:2017年12月1日
人の体内で継続的に情報収集をすることが困難
従来、先制医療や予防のための取り組みがなされています。先制医療というのは、発症前の予測又は診断により、発症を防止又は遅らせることをいいます。
しかし、人の健康状態の評価や、疾病の発症の前の未病状態の判別を行うことが困難であるという問題があります。例えば、体重計や体脂肪計などの計測器を用いて人の簡単な記録、ライフログを収集して、本人にフィードバックする取り組みがありますが、普及に至っていません。
この要因の1つは、センサデバイスが大型で装着感が良くないことが挙げられています。断片的な情報しか得られないので、長期的な健康維持に活用しにくいといわれています。
そこで、人の健康に関するデータを効率的・継続的に収集することが求められています。
体内に入ると電源オンになって検知を開始する食事型センサ
この発明は、食事などとともに人の体内に入るセンサ「食事型センサ」に関する発明です。食事型センサは、体内の所定の物質(例えば、塩分やpH)を検出するセンサをもっています。また、消化、吸収されないようにガラスなどでコーティングされています。
食事型センサは、温度の変化などから人の体内に入ったかどうかを検知し、人の体内に入ったことが検知されると、電源オンとなって所定の物質のセンシングを開始します。また、センシングによって得た物質の情報を、体外の通信装置にアンテナを介して無線送信します。体外の通信装置は、例えば、人が身につけている腕時計型端末です。通信規格については例示も限定もないようで、おそらく無線LAN等で実現可能だと思います。
これにより、人が意識することなくセンサを体内に取り込み、体内の情報を効率的かつ継続的に収集することができるようになります。
1mm四方で、体外にでたら電源オフ、また使える!?
食事型センサは、例えば、1mm四方以下の大きさになることが想定されています(図17)。ふりかけのようにご飯にかけられて、ご飯と一緒に人に飲み込まれて体内に入ります(図11)。そして、人体から排出されるまで継続して物質の計測を行います。
1mm四方の中に、図15のように温度計、センサ、バッテリ、その他の回路を詰め込む構成が開示されています。現段階で実現可能かどうかはよくわかりませんが、将来は可能になるのでしょう。
また、体外に排出されると自動的に電源をオフするようになっていて消費電力を削減できます。体外に排出されたら廃棄になる、つまり使い捨てなのかなと思っていましたが、再び口から体内に入って使われることも想定されているようです。
う○ちからセンサを取り出して、また、ご飯にかけるのでしょうか。特許の外の話ではありますが、ちょっと気になるところですね。。(汗)
センサを意識しない非意識センシングを行い、個人の真のデータを効率的かつ継続的に収集することが可能な、食事型センサ、及びセンシング方法を提供する。
【請求項1】
食品と混在し、かつ体内に入った際にも消化及び吸収されずに排出される食事型センサにて、
前記体内の所定の物質を検出するセンサ部と、
温度、水素イオン指数及び所定の酵素のうち、少なくとも1つに基づいて、前記センサ部が前記体内に入ったか否かを検知する検知部と、
前記検知部によって前記センサ部が前記体内に入ったと検知されたことに基づいて、前記センサ部によって検出された物質の情報を体外の通信装置に送信する送信部と、
を備えたことを特徴とする食事型センサ。
今日のみどころ
人の体内で塩分やpHを計測する1mm四方のセンサの発明です。実施可能なのか若干気になるところです。このようなことができれば、時間をかけて計測できるので健康のために有意義なデータがとれそうです。
アイデアを出すときには、製品の大きさとかの制約をいったん取り払って柔軟な思考をしてみるのもよいです。