今回は、BLE(Bluetooth Low Energy)に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、BLEのアドバタイジング通信の低消費電力化が求められています。
本発明では、アプリがバックグラウンドで動作していると間欠受信の頻度を小さくします。このようにすることで、情報処理装置の低消費電力化を図ります。
BLEのアドバタイジング通信の低消費電力化が求められている
血圧計が測定した血圧などのデータを携帯端末(携帯電話)に送信する技術があります。送信には、BLE(Bluetooth Low Energy)などの近距離無線通信が利用されます。
BLEの通信には、コネクション(双方向通信)とアドバタイジング(片方向通信)があります。アドバタイジングのほうが通信手順が煩雑ではないので、開発が低コストで済むなどのメリットがあります。
アドバタイジングの通信をする携帯端末は、さらなる低消費電力化が求められています。
アプリがバックグラウンドで動作していると間欠受信の頻度を小さくする
この発明の、情報処理装置(携帯端末)は、さらなる低消費電力化が図ることができます。
具体的には、データを受信するアプリがバックグラウンドで動作しているときに、そのアプリがフォアグラウンドで動作しているときよりも、間欠受信動作のデューティー比を小さくします。
間欠受信動作のデューティー比が小さいことは、間欠受信動作の頻度が小さい、(つまり、間隔が大きい)ことを意味します。
また、そのアプリが起動していないときには、そのアプリがバックグラウンドで動作しているときよりも、間欠受信動作のデューティー比を小さくします。
このようにすることで、情報処理装置の低消費電力化を図ります。
特許第6891072号 オムロンヘルスケア株式会社
出願日:2017年8月9日 登録日:2021年5月28日
外部装置から片方向通信により送信される情報を受信する処理に係る電力消費を削減する。
インターネットに接続するための公衆通信回線の電波が届かない場所に、無線LAN環境を構築して作業の利便性を向上する。
【請求項1】
データを含む片方向通信用のパケットを受信する受信機と、
前記データを処理するアプリケーションを実行するアプリケーション実行部と、
前記受信機の間欠受信動作のデューティ比が、前記アプリケーションがバックグラウンドで動作しているときには、前記アプリケーションがフォアグラウンドで動作しているときよりも小さくなるように、さらに、前記アプリケーションが起動していないときには、前記アプリケーションがバックグラウンドで動作しているときよりも小さくなるように、前記間欠受信動作を制御する間欠受信パラメータを調整する間欠受信パラメータ調整部と、
を備え、前記アプリケーションがバックグラウンドで動作していることは、前記アプリケーションが起動しているが操作不可能な状態にあることを示し、前記アプリケーションがフォアグラウンドで動作していることは、前記アプリケーションが操作可能な状態にあることを示す、情報処理装置。
今日のみどころ
BLEの通信の消費電力を小さくする発明です。アプリがバックグラウンドで動作しているか、フォアグランドで動作しているか、起動していないか、に応じて間欠受信の頻度を調整します。ポイントはシンプルです。
2017年の出願ですから、機器がBLEを使ってスマホにデータを送るという形態が多くなかった時期だったのではないかと思います。早く課題を見つけて、その解決策を検討することが、有利に特許をとることにつながりますね。