今回は、BluetoothやBLEに関する発明を紹介します。例えばクレジットカード決済端末に関する発明です。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、オン状態に変わった通信部を相手が認識できない問題があります。
この発明では、オン状態に変わる通信部の識別情報をパケットに入れます。これにより、通信相手装置が、オン状態に変わったBT3の通信部を認識することができるようになります。
オン状態に変わった通信部を相手が認識できない問題
2つの通信部をもつ通信装置があります。例えば、BLE(Bluetooth Low Energy)の通信部と、BT3(Bluetooth 3.0)の通信部とをもつ通信装置があります。
このような通信装置において、BT3の通信部がオフ状態であるときに、通信相手装置から、BT3の通信部をオン状態にする信号をBLEの通信部が受けた場合に、BT3の通信部をオン状態にする機能があります。
この場合、通信相手装置は、オン状態に変わったBT3の通信部を認識することができないという問題があります。
オン状態に変わる通信部の識別情報をパケットに入れる
この発明の通信システムでは、通信相手装置が、オン状態に変わったBT3の通信部を認識することができるようにします。
まず、BT3の通信部がオフ状態であるときに、BT3の通信部の識別情報を含むパケットをブロードキャストします。
このパケットを受信した通信装置(通信相手装置)は、このパケットに含まれている識別情報を含むBLEのパケットを送信します。
送信されたパケットを受信した通信装置は、BT3の通信部をオン状態に切り替え、通信相手装置とデータ通信を開始します。
例えば、通信装置はクレジットカードの決済端末(クレジットカードの読み取り機)で、通信相手装置は、決済用の携帯端末(コンピュータ)です。通信相手装置とのデータ通信は、例えば、クレジットカードの決済処理です。
このようにすることで、通信相手装置が、オン状態に変わったBT3の通信部を認識することができるようになります。
特許第6616553号 楽天株式会社
出願日:2017年8月18日 登録日:2019年11月15日
通信相手の装置から所定の信号を受信することに応じてオン状態に切り替わる通信部を当該通信相手の装置に確実に認識させる。
【請求項1】
それぞれ互いに異なる識別情報が設定されている第1の通信部と第2の通信部とを含む複数の通信装置と、通信相手装置と、を含む通信システムであって、
前記複数の前記通信装置のそれぞれの、
前記第2の通信部は、前記第1の通信部よりも省電力で動作し、
前記第2の通信部は、前記第1の通信部の識別情報を予め記憶し、
前記第2の通信部は、前記第1の通信部の状態がオフ状態である際に、当該第2の通信部が記憶している前記第1の通信部の識別情報を含むパケットをブロードキャストし、
前記通信相手装置は、前記複数の前記通信装置のそれぞれの前記第2の通信部からブロードキャストされる、当該通信装置に含まれる前記第1の通信部の識別情報を含むパケットを受信し、
前記通信相手装置は、前記パケットの送信元である前記複数の前記通信装置のうちから選択される1の前記通信装置の前記第2の通信部に所定の信号を送信し、
前記所定の信号を前記第2の通信部が受信した前記通信装置は、当該通信装置に含まれる前記第1の通信部の状態をオン状態に切り替え、
状態がオン状態に切り替わった前記通信装置の前記第1の通信部は、前記通信相手装置との間での所定の情報処理に用いられるデータの通信を開始する、
ことを特徴とする通信システム。
今日のみどころ
最近は、お店のレジで、クレジットカード決済、SuicaやEdyなどの近接無線通信の決済などに用いられる端末がよく見られるようになりました。レジの装置がipadになっていることもよくありますよね。
そうなってくると、クレジットカード決済端末や、近接無線通信の読取装置を無線で接続する形が利用されます。そんな通信形態で使われる発明です。(この発明の技術が搭載されているかどうかはわかりません。)
汎用のハードウェアを使いつつ、専用の処理はソフトウェアで行う形にどんどん変わってきていますね。