認知症患者のエレベータへの共連れを防止する特許発明(三菱電機ビルテクノサービス)を紹介

 今回は認知症患者の施設のエレベータについての特許を紹介します。

 従来、認知症患者がエレベータにのって施設外に出てしまう、共連れ問題があります。

 この発明では、エレベータのかご内のRFIDタグ数と人数が一致しないとドアを閉めないように制御されます。これにより共連れを防止します。






認知症患者がエレベータにのって施設外に出てしまう、共連れ問題

 認知症の患者などが介護されている病院や施設では、患者が病院や施設から外へ出て行かないようにエレベータの利用が制限されています。

 例えば、特別な手順の操作や、特別な番号の入力をしないとエレベータを呼べないようにする工夫がされています。また、特別なRFIDタグを携帯している利用者のみがエレベータを呼べるようにする工夫もあります。

 しかし、来訪者が患者を訪れた際に、RFIDタグなどをもった来訪者と一緒に患者がエレベータにのってしまうことがあります。この状態を、「共連れ」と表現しています。

 共連れが起こると、患者が病院や施設の外に出てしまうという問題があります。

エレベータのかご内のRFIDタグ数と人数が一致しないとドアを閉めない

 この発明のエレベータの制御システムでは、来訪者にRFIDタグが渡されます。

 そして、エレベータが呼ばれてドアを開いた後、エレベータのかご内のRFIDタグの個数と、かご内の人数とを別々に計測します。RFIDタグの個数はRFIDリーダで読み取ることができ、かご内の人数は、重量センサなどによって計測できます。

 そして、RFIDタグの個数と人数とが一致しないときには、かごのドアを解放状態に維持します。RFIDタグの個数と人数とが一致しないのは、認知症患者がエレベータに乗っているとき、つまり共連れが起きているときです。

 そして、エレベータのかご内のRFIDタグ数と人数が一致しないとドアを閉めず、エレベータを他の階に移動させないように制御されます。

 これにより、認知症の患者が来訪者と一緒にエレベータに乗ってしまう、共連れを防止することができます。

 特許第6306110号 三菱電機ビルテクノサービス株式会社
 出願日:2014年4月1日 登録日:2018年3月2日

【課題】
無線端末装置を携帯していない人、例えば、認知症患者が来訪者と一緒にエレベーターに乗って移動を抑制する。
【請求項1】
 建物への来訪時に貸し出されて来訪者が携帯し、かご呼び及び行き先呼びを行う無線端末装置と、
 乗場に設けられ、前記無線端末装置から前記かご呼びを受信する第1の受信装置と、かご内に設けられ、前記無線端末装置から前記行き先呼びを受信する第2の受信装置と、
 前記かご内の人数を検出する人数検出装置と、
 前記第1の受信装置が受信した前記かご呼びまたは前記第2の受信装置が受信した前記行き先呼びに基づいて、前記かごの昇降及び前記かごのドア開閉を制御する制御装置と、
 を備え、
 前記制御装置は、前記かごを前記かご呼びに応じた階に移動して、前記かごのドアを開いた後、前記第2の受信装置に受信された前記無線端末装置の個数と、前記人数検出装置により検出された人数とを比較して、両者の数が一致しないとき、前記かごを前記かご呼びに応じた階に停止させて前記ドアの開状態を維持するドア開放状態とすることを特徴とするエレベーターシステム。

今日のみどころ

 認知症等の患者がいる病院や施設を想定した、エレベータの制御に関する特許発明で、患者がエレベータに乗って病院や施設の外に出てしまうことを防ぐことができます。

 発明のポイントは、エレベータのかご内のRFIDタグ個数と、かご内の人数とが一致しないと、かごを移動させないという点です。

 請求項も明細書も無駄がなく、しかも理解しやすくかけていると思います。請求項に無駄な記載がないことは広い権利範囲を確保するためにとても重要です。請求項や明細書の書き方の勉強にもなる、とてもよい文献だと思います。