今回は近距離無線通信に関する特許を紹介します。
従来、通信デバイスなどが独立に動作していて連携していないという問題があります。
この発明では、赤外線通信できるときだけ近距離無線通信を許可します。これによりセキュリティを向上させます。
通信デバイスなどが独立に動作していて連携していない
最近の携帯用ゲーム機や、スマホ、携帯電話などの携帯端末は、複数の通信デバイスや入出力デバイスを備えています。
通信デバイスには、例えば、近距離無線通信(RFID)、Wi-Fi、赤外線通信、GPSがあります。入出力デバイスには、例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ、タッチセンサ、マイクなどがあります。
これらのデバイスは独立に動作していて、組み合わせて動作していて、連携していないという問題がりました。
赤外線通信できるときだけ近距離無線通信を許可してセキュリティ向上
この発明の携帯端末は、ICタグと通信する近距離無線通信(RFID)デバイスと、赤外線通信デバイスとが連携してセキュリティを向上させます。
この携帯端末は、赤外線通信が必要になったときに、赤外線通信を促すメッセージを表示します。このメッセージを見たユーザは、赤外線通信をオンにする想定です。
そして、赤外線通信が確立されているときに、近距離無線通信でICタグとの通信を許可します。赤外線通信が確立されていないときには、近距離無線通信での通信を許可しません。
このようにデバイスを組み合わせて利用することで、いつでも近距離無線通信できるようにしておくのではなく、赤外線通信ができるときだけ近距離無線通信を許可するようにすることができます。
特許第6416368号 任天堂株式会社
出願日:2017年12月15日 登録日:2018年10月12日
搭載された種々の入出力デバイスと、通信器との間で無線通信を行う機能とを組み合わせて利用し、セキュリティ性能の向上等を実現できる情報処理システム、ゲームシステム、情報処理装置、情報処理プログラム及び情報処理方法を提供する。
【請求項1】
近距離無線により情報処理装置との間でデータの送受信処理を行う第1無線通信部を有する通信器と、
近距離無線により前記通信器との間でデータの送受信処理を行う第2無線通信部、他の装置との間で赤外線通信を行う赤外線通信部、前記赤外線通信部の処理に応じて前記第2無線通信部の処理を制限する制限部、並びに、該制限部により処理が制限されていない前記第2無線通信部の処理結果に応じた情報処理を行う情報処理部を有する情報処理装置と、
前記第2無線通信部による前記通信器とのデータの送受信処理が必要となった場合に、
前記赤外線通信部による赤外線通信を促すメッセージを表示する表示部と
を備える情報処理システム。
今日のみどころ
近距離無線の通信が、赤外線通信可能なときだけできるように制限されるというアイデアでシンプルです。
いろいろなことをできるようにする技術が注目されることが多いですが、いったんできるようになった技術をできなくする、つまり制限する技術というのも特許のネタになります。
特許のネタを考えるときに、できるようにする技術でネタ切れしたら、できなくする技術も考えてみましょう。