従来の薬の服薬履歴の管理方法では、薬の服用履歴の閲覧を安全に管理することが難しいという問題がありました。
この薬の服薬履歴の管理方法では、秘密情報を用いず、乱数を用いてプライバシー性を高く維持しながら服薬履歴を閲覧させることができます。これにより、薬の服用履歴の閲覧を安全にすることができます。
特許第6043461号 パナソニックヘルスケアホールディングス株式会社
出願日:2016年4月6日 登録日:2016年11月18日
薬の服用履歴の閲覧を安全に管理することが難しい問題
患者が服用した薬を記録しておく「お薬手帳」があります。お薬手帳のように服薬した薬を電子的に管理する「電子版お薬手帳」もあります。
電子版お薬手帳があると、医師や薬剤師は、過去に患者が服用した医薬品の情報が分かるので、患者に提供してよい薬、提供してはいけない薬を判断したりすることができます。
しかし、患者が過去に服用した医薬品に関する情報は、プライバシー性が高いため、だれでも閲覧できるようにするのは問題があります。閲覧できる端末を事前登録する方法では、登録情報の管理などの手間が必要になります。また、閲覧できる人を制限するためにユーザ認証をすることが考えられますが、ユーザ認証に用いるIDやパスワードを覚えて置いたり、他人に安全に教えたりするのが容易ではないという問題がありました。
秘密情報を用いず乱数を用いて服薬履歴を閲覧
この発明の管理方法は、病院や薬局などの医療機関で患者の服薬履歴を閲覧する場面を想定しています。図1のように、医療関係者が扱う医療機関端末10と、患者が扱う患者端末11(例えば患者のスマホ)と、サーバ装置12が通信回線で接続されています。
そして、図7のように、サーバ装置が乱数を生成して、医療機関端末に送ります。医療機関端末が表示した乱数を医療関係者が見て、患者にその乱数を教えます。そして、患者がスマホから医療機関端末に、その乱数と患者に関する情報を送信します。
サーバ装置は、医療機関端末に送った乱数と患者端末から受信した乱数とが一致する場合、その後に、医療機関端末に患者の服薬履歴の情報を送信します。このようにして、医療機関端末に服用履歴の情報が提供されます。
以上のやり取りの中で、どの端末も、システムを利用するための事前登録をする必要がありません。また、ユーザ認証のためのIDやパスワードが不要なので、ID等を覚えてやり取りする必要もなく、教える相手が信頼できるかどうか判断する必要もなく、システムのセキュリティが高いというメリットがあります。
ユーザの手間を軽減し、かつ、高度なセキュリティを確保した上で、情報の閲覧が可能となる服薬履歴管理方法、服薬履歴管理装置、および、服薬履歴管理プログラムを提供する。
【請求項1】
サーバ装置が第1の端末および第2の端末と情報の送受信を行って服薬履歴を管理する服薬履歴管理方法であって、
前記第1の端末から受信した識別用数値情報の要求に基づいて、前記識別用数値情報を生成するステップと、
前記識別用数値情報を所定の記憶部に記憶させ、前記識別用数値情報を前記第1の端末に表示させるステップと、
前記第2の端末にて入力された識別用数値情報と、前記第2の端末に記憶されている患者識別情報とを前記第2の端末から受信するステップと、
前記第2の端末から受信した識別用数値情報が前記所定の記憶部に記憶されている場合、前記第1の端末から受信した服薬履歴情報の要求に基づいて、前記患者識別情報に対応する服薬履歴情報を前記所定の記憶部から読み出し、前記服薬履歴情報を前記第1の端末に表示させるステップと、を含む、
服薬履歴管理方法。
今日のみどころ
お薬手帳の電子版に関する発明です。いまでも何種類もの薬を服用している人も多いと思います。また、ジェネリック医薬品の増加によって、同じ効能でも複数の薬が存在するようになってきています。そこで過去に服用した薬を管理するシステムは今後ますます重要なものになっていくと思います。この発明では、プライバシー性を高く維持したまま使い勝手を良くする工夫がなされています。
技術的な観点では、秘密情報を送る代わりに乱数を用いて情報をやりとりするのは暗号通信でも使われるやり方です。秘密情報を送る必要があるシステムを検討されている方には参考になるかもしれませんね。
なお、この特許の請求項1は、不慣れな方には読みにくいかもしれません。何が言いたいのかわかりにくい。ある意味「特許らしい」言葉遣いですけど。。。