施設の情報をカーナビとスマホ両方に送信し 同乗者に閲覧させる発明 ホンダ

 カーナビで施設の情報を得る機能があまり使われていないという問題を解決する発明です。

 この発明のサーバは、スマホが車内にある場合、カーナビとスマホの両方に施設の情報を送信します。これにより、同乗者がスマホで施設の情報を閲覧することができます。

 特許第6121025号 本田技研工業株式会社
 出願日:2016年4月25日 登録日:2017年4月7日



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

カーナビで施設の情報を得る機能があまり使われていない問題

 車両のナビゲーション装置(いわゆるカーナビ)は、画面の脇に配置されたボタンや、画面に表示されたアイコンなどを直接操作できるタッチパネルで操作するものが一般的です。

 運転者が走行中にナビゲーション装置の操作をすると、車両の運転への注意が足りなくなって走行に危険をきたします。そこで、走行中の操作を禁止し、車両が停止しているときのみ操作を許容するものが一般的です。

 しかし、運転者が走行中に目的地の施設の情報を得たい時などに、わざわざ車両を停止することは少なく、施設の情報を得るという使い方自体があまり利用されないという問題がありました。

カーナビとスマホの両方に施設の情報を送信する

 この発明は、ナビゲーション装置とユーザのスマホ(携帯端末)と通信するサーバに関する技術です。サーバは、ナビゲーション装置とスマホの位置情報を把握していることが前提です。

 そして、施設検索の要求を受信すると、ナビゲーション装置とスマホの位置情報に基づいて、ユーザのスマホが車両の中にあるか否かを判定します。そして、ユーザのスマホが車両の中にある場合には、ナビゲーション装置とスマホとの両方に検索結果を送信します。

 このユーザは、助手席に乗車している同乗者を想定しています。車両の走行中は、ナビゲーション装置を操作することができませんが、検索した施設に関する情報を同乗者がスマホで閲覧することができます。

 あと、発明の効果の欄に、ユーザによる特別な操作を要せずに、施設へユーザを誘導したことによる成功報酬の処理を簡易にできる効果も記載されています。ビジネス上は、このようなメリットも重要だと思います。

【課題】
ナビゲーションサーバが、車両に乗車している同乗者が照会する携帯端末と、車両に搭載される車載ナビゲーション装置との双方に向けて、同じナビゲーション情報、施設情報等を直接配信することを可能とする、ナビゲーションサーバ及びプログラムを提供する。
【請求項1】
 携帯端末及び車両の内部に持ち運ぶ無線部を備えたナビゲーションデバイスにそれぞれ通信可能に接続されるサーバであって、
 前記サーバは、
 サーバ側無線部と、
 施設情報を記憶する記憶部と、
 前記サーバ側無線部を介して前記無線部を備えたナビゲーションデバイスから受信した情報配信要求に応答して前記記憶部から所定の基準を満たす施設情報を検索する施設検索部と、
 前記サーバ側無線部を介して前記無線部を備えたナビゲーションデバイスから受信した前記ナビゲーションデバイスの現在位置情報と、前記サーバ側無線部を介して前記携帯端末から受信した前記携帯端末の現在位置情報とに基づいて、前記携帯端末が前記車両の内部に存在するか否かを判定する第1判定部と、
 前記施設検索部により検索した施設情報を前記無線部を備えたナビゲーションデバイスに対して、前記サーバ側無線部を介して送信する施設情報提供部と、を備え、
 前記施設情報提供部は、さらに、前記第1判定部により前記携帯端末が前記車両の内部に存在すると判定された場合、前記施設検索部により検索した施設情報を前記無線部を備えたナビゲーションデバイスと前記携帯端末との双方に対して、前記サーバ側無線部を介して直接送信することを特徴とするサーバ。

今日のみどころ

 カーナビは走行中に操作できないので、私の場合、走行前に目的地をセットして、その後はあまり触らないで目的地まで行ってしまうことが多いです。ナビゲーションに関わる情報が同乗者のスマホにも提供されれば便利だと思います。

 カーナビの不便さに着想を得た発明とも言えます。また、カーナビのあまり使われていない機能を使われるようにするアイデアとも言えると思います。日常生活で感じている不便さ、不便さのあまり使うことを避けていること、これらは発明のタネになりますよ。