音楽や映像などのコンテンツを配信するコンテンツ配信システムでは、料金を支払った人だけにダウンロードを許可するしくみが必要です。
この発明では、ユーザの携帯電話からのダウンロード要求のURLの正当性と、ユーザの正当性の両方を確認して、サーバからのコンテンツのダウンロードを許可するかどうかを制御します。コンテンツを保存することができる携帯電話端末(スマホを含む)に適用可能な発明です。
特許第4859882号(特開2010-9452) 佐藤 靖
出願日:2008年6月30日 登録日:2011年11月11日
料金を支払った人だけにダウンロードを許可するしくみが必要
ネットワークを通じたコンテンツ配信システムが普及し、CDやDVDなどのメディアを保有することなく、ネットワーク経由で音楽や映像などのコンテンツをデータとしてスマホや携帯電話などの端末にダウンロードして再生することが行われています。
このようなコンテンツ配信システムでは、料金を支払った人には複数回ダウンロードを許可するとともに、料金を支払っていない人によるダウンロードを禁止することが必要です。また、、なるべく簡易なシステムで実現することが求められます。
ダウンロード要求のURLとユーザとの両方の正当性を確認
そこで、本発明では、携帯電話からのダウンロード要求を受けたときに、要求されたURLと要求したユーザとの両方の正当性を確認するようにします。具体的には、コンテンツの販売者の携帯電話の機種固有情報を用いてダウンロード先のURLが正当であるか否かを判定するとともに、コンテンツをダウンロードする携帯電話の機種固有情報を用いてダウンロードしようとするユーザが正当であるか否かを判定します。URLは、例えばQRコードに含まれるもので携帯電話により取得されます。
この方法により、比較的簡易な仕組みでコンテンツのダウンロードの許否を制御することができます。また、携帯電話の電話番号を用いるわけではないのでユーザの個人情報が漏洩することも回避できます。
コンテンツの供給側にとっては、正当な対価を支払った相手方にのみ供給でき、ユーザにとっては、個人情報の漏洩を心配することなく、自分の気に入ったコンテンツをいつでもどこでも何度でも楽しめる配信システムの提供。
【請求項1】
コンテンツ配信サービスを提供するウェブサイトを示すURL情報とID情報を含むデータコードが予め印刷され、該ID情報に基づいてコンテンツの特定も行えるコンテンツ配信用情報印刷媒体と、
該情報印刷媒体に印刷されているデータコードを読み取ってそこに含まれるURL情報及びID情報を抽出する携帯電話と、
該携帯電話が前記ID情報を引数として前記URL情報に基づき接続するコンテンツ配信用サーバと、
該サーバとアクセス可能に接続された情報印刷媒体管理データベースと、
を備えた、販売者登録済の個人によって販売された前記情報印刷媒体を介して回数制限無くダウンロードができるコンテンツ配信システムであって、
前記サーバは、販売者登録手段と販売商品登録手段とコンテンツ配信手段とを備え、
前記販売者登録手段は、
前記情報印刷媒体の販売者が使用する携帯電話の機種固有情報を前記データベースに登録し、
前記販売商品登録手段は、
前記の機種固有情報が登録された販売者の携帯電話によって、販売が完了した情報印刷媒体に印刷されているデータコードに含まれるID情報が送信された時に、該ID情報及び前記販売者の携帯電話の機種固有情報とを前記データベースに登録するとともに、
前記コンテンツ配信手段は、
前記情報印刷媒体の利用者の携帯電話からのダウンロード要求を送信された都度前記データベースを参照して、
同時に送信された前記ID情報が未登録であれば前記ダウンロード要求を拒絶し、
前記ID情報が既登録かつ利用者認証用情報が未登録であれば前記利用者の携帯電話の機種固有情報を前記データベースに利用者認証用情報として登録するとともにダウンロードを許可し、
前記ID情報が既登録かつ利用者認証用情報が既登録であれば
前記利用者の携帯電話の機種固有情報と既登録の利用者認証用情報とを照合して、
一致すれば利用者認証は受理されたものとみなしてダウンロードを許可するが、
一致しなければ利用者認証は拒否されたものとみなしてダウンロードを拒絶するとともに、
ダウンロードを許可する場合は、前記利用者の携帯電話に対して前記ID情報に基づいて特定されるコンテンツのダウンロード用の画面を送信する
ことを特徴とするコンテンツ配信システム。
今日のみどころ
音楽や映像などのコンテンツがCDやDVDに収められて流通している場合には、データが物としてのCDやDVDに結びついているので、その物を販売することでデータを販売することができます。しかし、通信端末やネットワークの技術進歩や利便性の向上により、データが物と離れて流通するようになると、不正アクセスやデータの違法コピーなどによりコンテンツを不正に入手することが技術的に可能になってきます。利便性向上のための技術が進歩すると、それを追いかけて、不正アクセスなどの技術も進歩してしまうといういたちごっこの状態です。
本発明では、販売者及び購入者それぞれの携帯電話の固有情報を用いて比較的簡易な方法で不正アクセスの防止に効果を発揮します。販売者の情報を用いるところがユニークなポイントといえると思います。このように、通信技術に、通信されるデータの特性に応じた技術を組み合わせると、発明の個性がよく出て特許性が認められやすくなると思います。
なお、発明者の佐藤靖さんは、歌手の野口五郎さんです。アーティストの現場では、コンテンツ(著作物)を守りながら収益に結びつけるというニーズが大きいと思います。この発明は、「テイクアウトライブ」のサービスで利用されているようです。