今回は、クーポンシステムに関する特許発明について、特許公報を読んで勉強しまくっている私と一緒に勉強しましょう。
従来、印刷物クーポンとデジタルクーポンの利用動向が把握できていないという問題があります。
この発明では、印刷物クーポンとデジタルクーポンの利用時に利用者の認証をします。これにより、飲食店などの施設に適切に利益配分がなされるようになります。
『ランチパスポート』という名称で実際にサービスに使われているそうです。
印刷物クーポンとデジタルクーポンの利用動向が把握できていない問題
従来、飲食店などの施設の利用を促進するためにクーポンが利用されています。
クーポンは、印刷物に印刷されたクーポン(印刷物クーポン)や、スマホのアプリによって画面に表示されるクーポン(デジタルクーポン)があります。有料で印刷物等が配布される場合、クーポンが利用されると飲食店などに施設に利益配分がなされます。
しかし、印刷物クーポンとデジタルクーポンの利用動向が把握できていない状況があります。その場合、施設への利益配分が適切になされないという問題があります。
印刷物クーポンとデジタルクーポンの利用時に認証をして利益を配分
この発明のクーポンシステムでは、印刷物クーポンとデジタルクーポンが使われる場合に、利益配分をすることができるようにします。
具体的には、利用者が印刷物クーポンを利用する場合には、印刷物を店員に見せるなどして利用者の認証をします。この認証によって、印刷物クーポンが使えることも確認されます。
また、デジタルクーポンを利用するとき場合には、スマホと、施設側装置との間で通信(例えば近距離無線通信)をして、利用者の認証をします。この認証によって、デジタルクーポンが使えることも確認されます。
このように、印刷物クーポンの場合もデジタルクーポンの場合も、利用者の認証をしているので、その認証情報を利用して、飲食店に対する利益配分を適切にすることができます。利益配分には、施設の利用実績に応じた従量分が含まれます。
特に、印刷物クーポンの利用状況を正確に把握したことによって、利益配分をできるようにした、という点がポイントと考えられます。
特許第6347383号 株式会社エス・ビー・シー、大学共同利用機関法人情報・システム研究機構、株式会社ほっとこうち
出願日:2013年9月18日 登録日:2018年6月8日
印刷物クーポンおよびデジタルクーポンの利用状況に応じた利益配分を行う。
【請求項1】
印刷物クーポンと可搬型通信端末を利用したデジタルクーポンとを用いるクーポンシステムであって、
前記クーポンシステムは、
印刷物クーポンとデジタルクーポンとによる施設の利用履歴を示す利用履歴情報を記憶する利用履歴情報記憶部と、
利用者が利用する可搬型通信端末またはクーポンが利用可能な施設に設置された施設側装置から、クーポンを利用することを示す情報と利用者を識別する利用者識別情報とを受け付けることで、その施設に対するクーポンの利用履歴を前記利用履歴情報記憶部に記憶させるクーポン利用処理部と、
利益配分の対象となる期間の前記印刷物クーポンとデジタルクーポンとの利用履歴情報を前記利用履歴情報記憶部から抽出するクーポン利用履歴情報抽出処理部と、
前記抽出した利用履歴情報に基づいて、前記印刷物クーポンおよびデジタルクーポンの利用実績に基づいた利益配分額を算出する配分額算出処理部と、を有しており、
前記配分額算出処理部は、
前記印刷物および/ またはデジタルクーポンの売上額に比例し、各施設に対して公平に配分する額である定額配分と、施設ごとの前記クーポンの利用実績に応じて、各施設に配分する額である従量配分と、を少なくとも算出することで、前記利益配分額を算出する、
ことを特徴とするクーポンシステム。
今日のみどころ
印刷物クーポンとデジタルクーポンとを併用する場合の課題を解決します。このクーポンシステムは、『ランチパスポート』という名称で実際にサービスに使われているそうです。
実際にランチパスポートを利用する人の側にはあまりわからないことだと思いますが、クーポンを提供する側の施設がうまく利益を受けられるようなしくみが裏側で動いているといえます。
複数の企業が関係するシステムの場合には、だれか1人が得をするのではなく、だれも損をしないようなシステム設計も大事になってくると思います。こういう部分は、ビジネスモデル特許のネタになりますね。勉強になります。
なお、この特許は、下記のサイトの管理人様からのリクエストを受けて紹介しました。みなさまもリクエストいただけましたら、できる範囲で紹介したいと思います。