ウェアラブルカメラの映像データを撮影したユーザが誰だかわかる発明 パナソニック

 警察、警備や監視などの業務でウェアラブルカメラの映像データをどのユーザが撮影したかわからなくなる問題を解決する発明です。

 この発明の認証装置は、ユーザ固有のログイン情報をウェアラブルカメラに転送し、映像データに付与します。映像データがどのユーザによって撮影されたものであるかが後で分かるようになります。

 特許第5842103号 パナソニックIPマネジメント株式会社
 出願日:2014年10月24日 登録日:2015年11月27日



 ※特許の本の紹介。
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映像データをどのユーザが撮影したかわからなくなる問題

 警察、警備や監視などのさまざまな業務で、身に着けられるカメラ、ウェアラブルカメラが利用されています。ウェアラブルカメラが撮影により生成した映像データは、PCやサーバなどの記憶装置に転送されて保存されます。

 このように生成される映像データには、ユーザ固有の情報は記録されません。

 そのため、複数のユーザ(警察官や警備員など)がウェアラブルカメラを用いる状況では、生成された映像データが後になって、どのユーザが撮影した映像データなのかがわからなくなるという問題がありました。

ユーザ固有のログイン情報をカメラに転送し映像データに付与

 この発明は、車載カメラシステムの認証装置により課題を解決します。車載カメラシステムは、ユーザ固有の情報を用いてログインしてから使用するシステムである前提です。この認証装置は、ウェアラブルカメラで生成された映像にユーザ固有の情報を付与することができます。

 ユーザが車載カメラシステムにログインしている状態で、車載カメラシステムは、ユーザ固有の情報であるログイン情報をウェアラブルカメラに転送します。そして、ウェアラブルカメラは、このログイン情報を映像データのメタデータとして付与します。

 このようにすることで、映像データのメタデータにユーザ固有の情報が付与され、映像データがどのユーザによって撮影されたものであるかが後で分かるようになります。

 なお、警察官が使用するウェアラブルカメラの装置の外観、操作ボタンの働き、点灯するLEDの意味、無線モードの切り替えなど、あまり世間に知られていないかもしれない情報が明細書内に記載されていました。ちょっとおもしろかったです。

【課題】
撮像された映像と映像を撮像したユーザと
の関係性を明確にし、映像を撮像したユーザが誰であるかを第三者に対して的確に示す車載カメラシステムへのログイン認証装置、及びログイン認証方法を提供する。
【請求項1】
 車載カメラシステムへのユーザのログイン情報を介して、前記車載カメラシステムと前記ユーザが装着可能なウェアラブルカメラとをリンクさせる車載カメラシステムへのログイン認証装置であって、
 前記車載カメラシステム又は前記ウェアラブルカメラとの間で通信する通信部と、
 前記ユーザの前記車載カメラシステムへのログインを認証する認証部と、
 前記認証部により前記ログインが許可されると、前記ユーザの識別情報を含む前記ログイン情報を保存する記憶部と、を備え、
 前記通信部は、前記ユーザが前記車載カメラシステムにログイン中である場合に、前記記憶部に保存されている前記ログイン情報を前記ウェアラブルカメラに転送してコピーさせ、
 前記ログイン情報は、前記ウェアラブルカメラにより撮像された映像データのメタデータとして付与される、
 車載カメラシステムへのログイン認証装置。

今日のみどころ

 映像のメタデータにユーザ固有の情報を付与することがポイントです。警察や警備での問題を解決することが目的です。

 警察や警備というように使用シーンが明確になっているので、目的も解決方法も明確にすることができていると思います。それでも、複数の人がウェアラブルカメラを使う状況は、いろいろな業務でありそうなことなので、ほどよく広い権利範囲になっていて良いと思います。