【特許紹介】ETC対応の駐車場出口をスムーズに出れるようにする特許発明(JVCケンウッド)

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 今回は、ETC車載器に関する発明を紹介します。

 従来、クレジットカードを車載器から抜いておくと、運転者が駐車場出口であわててしまってスムーズに駐車場出口を出られないという問題がありました。

 この発明では、エンジン始動時にクレジットカード挿入を促して警告します。これによりスムーズに駐車場を出られるようにします。



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クレジットカードを車載器から抜いておくと駐車場出口であわてる問題

 高速道路や有料道路、有料駐車場の料金などの支払いにETCが使われています。この場合、ETC車載器にETCカードやクレジットカードを事前に挿入しておいて、ETCで料金を支払うことができます。

 ETCカードやクレジットカードを自動車の中に放置しておくと盗難などの危険があります。そのため、運転手が自動車から離れるときにはETCカードやクレジットカードを車載器から抜いておくのが一般的です。

 しかし、駐車場でETCカードやクレジットカードを車載器から抜いておくと、駐車場の出口であわててカードを車載器に挿入するなど、駐車場の出口で余分な時間がかかってしまうという問題があります。

エンジン始動時にクレジットカード挿入を促して警告する

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図6

 この発明の車載機器では、駐車場に配置された機器(路側機)から、この駐車場でクレジットカードによる決済ができるかどうか、つまりクレジットカード決済に対応しているかどうかを示す情報を受信します。

 そして、自動車のエンジンを始動させるときに、車載機器にクレジットカードが挿入されていなくて、かつ、この駐車場でクレジットカード決済ができる場合に、運転手に通知をします。

 この通知では、クレジットカードの挿入を促すとともに、カードが未挿入である警告をします。

 これにより、運転手に事前にクレジットカードを挿入させることができ、駐車場の出口であわてることなく、スムーズに出口を出れるようにします。

 特許第6213625号 株式会社JVCケンウッド
 出願日:2016年7月20日 (分割の原出願日 2012年9月7日)登録日:2017年9月29日

【課題】未挿入のカードについてより有用な情報を報知することのできる車載機器、及び、報知方法を提供する。
【請求項1】
 駐車場に配置された路側機と通信を行う通信部と、
 前記通信部が前記路側機から受信した情報に基づいて、前記駐車場にてクレジットカードによる決済が可能かどうかを識別する識別部と、
 前記識別部により識別された内容を示すフラグを記憶する記憶部と、
 前記駐車場内でのエンジン始動時に、前記記憶部に記憶されたフラグに従って、クレジットカードによる決済が可能かどうかを判別する判別部と、
 クレジットカードの挿入状態を検出するカード処理部と、
 前記判別部に判別された内容および前記カード処理部の検出結果に従って、クレジットカードが挿入されておらず前記駐車場がクレジットカードによる決済が可能であると判断された場合、クレジットカードの挿入を促しつつカードが未挿入である警告を発する報知部と、
 を備えることを特徴とする車載機器。

今日のみどころ

 駐車場の料金を支払う出口より前に、その駐車場でのクレジットカード決済が可能かどうか、可能な場合にはカードを挿入するように通知してくれる発明です。

 ETCは決済手段や認証手段としていろいろと便利な使い道が考えられますが、用途が法律などで制限されていてなかなか自由に使えない感じがしてもったいないっすね。