地域の中での消費電力の順位を表示して節電の注意喚起をする発明 トヨタホーム

 従来の電力管理システムでは、他の家の電気使用量との比較では、地域の中での順位がわからない問題がありました。

 この発明では、ピーク時間帯の各建物の消費電力の、地域の中での順位を表示します。これにより、各建物のユーザに節電を喚起できます。

 特許第6016499号 トヨタホーム株式会社
 出願日:2012年7月23日 登録日:2016年10月17日



 ※特許の本の紹介。
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他の家の電気使用量との比較では、地域の中での順位がわからない問題

 エコや省エネのため、建物の中での消費電力を低減させるための取り組みがなされています。例えば、ユーザの自宅の電気使用量をHEMS(*1)のシステムなどで管理し他の家の電気使用量とを比較することで、自宅の電気使用量の傾向を把握できるようにする技術があります。

 しかし、この従来の技術では、他の家の電気使用量との比較ができるだけでした。つまり、近所の地域の中での順位などがわかるものではなく、節電の注意喚起が不十分であるという問題がありました。

*1 HEMS: Home Energy Management System

ピーク時間帯の消費電力の、地域の中での順位を表示する

図4

 この発明の電力管理システムでは、測定対象の建物と、その建物を含む地域の他の建物での消費電力を時刻と対応付けて通信によって取得します。

 そして、地域の各建物の消費電力のピーク時間帯における各建物の消費電力の順位を算出して表示します。この表示は例えば図4のようになります。

 ユーザはピーク時間帯の各建物の順位を知ることになり、各建物のユーザに節電を喚起できる効果があります。

【課題】
電力が供給されている地域内での各建物の消費電力量の順位を各建物において表示させることにより、各建物の電力のユーザに節電を喚起する電力管理システムを提供する。
【請求項1】
 系統電力から建物の分電盤に供給される電力の電流値を計測する主幹電流計測手段と、
 前記主幹電流計測手段が計測した電流値を取得し、該取得した電流値から前記建物の消費電力量を該電流値を取得した時刻と対応付けて算出する電力算出手段と、
 前記電力算出手段が算出した前記消費電力量を前記消費電力量に対応付けられた時刻の情報と共に通信網を介して情報センターに送信する送信手段と、
 前記通信網を介して前記建物が属している配電対象地域の各建物から送信された前記各建物の消費電力量及び該消費電力量に対応付けられた時刻の情報に基づいて前記情報センターが算出した前記配電対象地域に属する各建物の消費電力量の順位の情報を前記情報センターから受信する受信手段と、
 前記電力算出手段が算出した前記建物の消費電力量及び該消費電力量に対応付けられた時刻並びに前記情報センターから受信した情報を表示可能な表示手段と、
 を備え、
 前記情報センターは、前記配電対象地域に属する各建物の消費電力量のうち前記対応付けられた時刻が同一である各建物の消費電力量を集計し、該集計された消費電力量が所定の閾値以上となった時刻をピーク時間帯が始まった時刻とすると共に、前記集計された消費電力量が前記ピーク時間帯が始まった時刻以降に前記所定の閾値未満となった時刻を前記ピーク時間帯が終了した時刻とし、前記ピーク時間帯において前記配電対象地域に属する各建物の消費電力量の順位を算出する電力管理システム。

今日のみどころ

 消費電力の低減のために家の消費電力を管理することが行われています。ユーザに注意喚起するために、他の家の消費電力との比較を行うというところまでは従来技術があります。この発明では、地域の中での比較を行うことが新規であると思われます。

 他の家の消費電力の従来技術があると、順位を算出することに進歩性がないと判断される可能性もあり得ます。でもこの特許では、しっかり進歩性が認められています。この辺がおそらく、丁寧に構成とその効果を説明することで進歩性が認められる方向に傾く微妙なラインだと思います。あきらめないでがんばりましょう。