拡張用コネクタを用いずにゲーム機器と赤外線通信する周辺機器の発明 任天堂

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 携帯ゲーム機器の周辺機器に関する発明です。この周辺機器は、操作部(スライドパッド)を備えており、携帯ゲーム機器と固定されます。そして、操作部が受けた操作の情報を携帯機器との間で赤外線又は無線通信でやりとりします。

 これにより、拡張用コネクタを用いずに周辺機器と携帯機器とを通信可能に接続し、周辺機器が受けた操作情報を携帯機器に送信することができます。携帯機器の一例は任天堂の3DSで、周辺機器の一例は3DS専用拡張スライドパッドであると考えられます。

 特許第5926773号(特開2014-209373) 任天堂株式会社
 出願日:2014年6月26日(分割の原出願日:2011年9月5日) 登録日:2016年4月28日



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従来、周辺機器を拡張用コネクタで携帯機器と接続できないことがある

 携帯ゲーム機器などの携帯機器は、ユーザが携帯するのに便利なように、サイズを小さめに維持することが望まれます。一方、操作性を向上するにはさまざまなボタンなどのインタフェースを搭載することが望まれますが、多くのインタフェースを搭載するには大きなサイズが必要になります。よって、サイズを小さめに維持する携帯機器は、ある程度限られたインタフェースだけを搭載し、それ以上のインタフェースを周辺機器により接続可能(拡張可能)にすることが行われています。携帯機器に周辺機器を接続するときには、一般に拡張用コネクタが用いれます。
 しかし、携帯機器が拡張用コネクタを有しない場合、又は、携帯機器が有している拡張用コネクタが他の周辺機器との接続に用いられている場合などには、拡張用コネクタを用いた接続ができないという問題があります。

拡張用コネクタを用いずに赤外線又は無線通信で接続 3DS専用拡張スライドパッド

 この発明の周辺機器には、操作部(スライドパッド)が配置されており、携帯機器を支持する支持部によって携帯機器と固定されます。また、操作部が受けた操作の情報などを、携帯機器との間で赤外線通信によってやりとりします。拡張用コネクタを用いることがないので、上記の従来の問題を回避することができます。
 また、周辺機器が支持部によって携帯機器と固定されるときに、周辺機器の赤外線ポートと、携帯機器の赤外線ポートとが互いに対向する位置に配置されます。これにより、赤外線通信が外部に漏れることが抑制され、また、外部からの赤外線ノイズが混入してしまうことも抑制される利点があります。
 また、赤外線通信の代わりに無線通信を用いることも権利範囲に入っています。ただし、無線通信を用いると、通信信号が外部に漏れること、又は、外部からのノイズが混入することを抑制する効果は小さくなると考えらえrます。
 なお、図面からわかるように、携帯機器の一例は3DSで、周辺機器の一例は3DS専用拡張スライドパッドであると考えられます。

【課題】
コネクタを用いずに携帯装置に接続することが可能な周辺装置等を提供する。
【請求項1】
 通信機能を有する携帯装置に対して所定の機能を付加するための周辺装置であって、
 前記所定の機能を有する付加機能部と、
 前記携帯装置との間で赤外線通信および/または無線通信を行うことが可能な通信部と、
 前記携帯装置を着脱可能に支持する支持部とを備え、
 前記付加機能部は操作部を含み、
 前記携帯装置は、所定の操作面において左右方向に関して一方側に設けられる所定の操作部材を有し、
 前記操作部は、前記支持部が前記携帯装置を支持する状態において、前記操作面の外側であって、前記一方側の反対側に配置される操作部材を含む、周辺装置。

今日のみどころ

 スマホや携帯ゲーム機器は、携帯しやすくするためにサイズを小さくすることと、多様な操作を実現するために操作インタフェースを多くすることの両方が求められます。これを両立するために、機器本体のサイズを抑えるとともに、機器本体に通信可能に接続する周辺機器が多様な操作を受け付けるボタンなどを有する構成にしています。また、機器本体と周辺機器の通信を安定化させることも本発明の目的といえます。
 赤外線通信、位置決め方法及び操作インタフェースなどの要素技術自体は新しいものではないのですが、これらを課題解決のためにうまく組み合わせることができていると思います。
 スマホのゲームが普及して携帯ゲーム機も競争が激しい分野になっています。知財面でも競争が見えます。要注目です。