今回は、すれ違い通信に関する特許を紹介します。
従来、アプの一致をすれ違い通信でのTCPセッション確立時に確認するので消費電力が大きいという問題がありました。
この発明の端末は、MAC(Media Access Control)接続時にアプリ(ゲーム)の一致確認をすることで消費電力を低減します。
ネットワークの初級レベルの知識があれば理解できるので、勉強にちょうどよいです。
アプの一致をすれ違い通信でのTCPセッション確立時に確認するので消費電力が大きい
従来、ゲーム機器などの情報端末で接近しているゲーム機器同士が直接通信する、すれ違い通信という通信の形態があります。
従来のすれ違い通信では、近くの通信端末を発見すると、MACの認証と接続、IPアドレスの設定をし、その後にTCPコネクション確立のためのSYNセグメントのポート番号からアプリケーションを判断します。端末同士でアプリケーションが一致する場合に、TCPセッションを確立してすれ違い通信をします。
この場合、アプリケーションが一致するかどうかの確認をTCPセッションの確立時に行うので、アプリケーションが一致しない場合でもTCPセッションの確立の前までの処理を行う必要があり、消費電力を多く消費するという問題があります。
MAC接続時にアプリ一致確認をすることで消費電力を低減
この発明の無線通信端末は、MACの接続時に、自装置のアプリケーションに関する情報を含めたMACフレームを送信します。この情報は、具体的には、アプリケーションに対応付けられたポート番号とIPアドレスの情報を含んでいます。
このMACフレームを受信した端末は、受信したMACフレームに含まれた情報と、自装置のアプリケーションに関する情報とが一致するかどうかを判定します。そして一致する場合に、MACの接続を行います。
このMACフレームの具体例は、ビーコンフレーム、プローブレスポンスフレームです。
このようにすると、アプリケーションが一致しない場合には、MACの接続の時点で通信を中止することになるので、TCPセッションの確立まで進める場合と比較して消費電力を削減することができます。
特許第5715471号 株式会社NTTドコモ
出願日:2011年4月28日 登録日:2015年3月20日
他の装置が使用するアプリケーションに関する情報を適切に受信して消費電力を低減することが可能な無線通信端末を提供する。
【請求項1】
他の無線通信装置との間にMAC層レベルのアソシエーションを確立するMAC層制御部と、
前記アソシエーションの確立前または確立過程において、前記他の無線通信装置が使用可能なアプリケーションに関する第1情報を含んだMACフレームを前記他の無線通信装置から受信する受信部と、
自機が使用可能なアプリケーションに関する第2情報を記憶する記憶部と、
前記第1情報と前記第2情報とが一致した場合には前記アソシエーションの確立を実行し、前記第1情報と前記第2情報とが一致しない場合には前記アソシエーションの確立を中止する判断部とを備え、
前記第1情報及び前記第2情報は、
前記アプリケーションに対応付けられたポート番号と、
前記アプリケーションにて使用されるパラメータに対応付けられたIPアドレスと、
を含む、
ことを特徴とする、
移動可能な無線通信端末。
今日のみどころ
すれ違い通信での消費電力の削減に役立つ発明です。
通信レイヤで考えると、従来は、レイヤ2,3,4と進んでレイヤ4でアプリケーションの一致確認をしていたのに対して、本発明は、レイヤ2でアプリケーションの一致確認をするということです。
Wifi上でのTCP/IPの通信の基礎知識があれば理解できる内容で、ネットワークの初級レベルの知識があれば理解できるので、勉強にちょうどよいと思います。