【特許紹介】LTEのスモール基地局が地震情報などをマクロ基地局経由でスマホに受信させる特許発明(NTTドコモ)

 今回は、スマートフォンや携帯電話の基地局に関する発明を紹介します。

新しい携帯電話のシステムであるLTEのスモール基地局がシステム情報を報知しないという問題があります。

 この発明では、LTEのスモール基地局がシステム情報をマクロ基地局経由で送信します。システム情報には地震情報なども含まれています。これにより、スモール基地局に接続しているスマホも地震情報を受信できるようになります。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

LTEのスモール基地局がシステム情報を報知しない

 LTEの無線基地局は、システム情報をユーザ装置(スマホや携帯電話端末)に報知する機能があります。システム情報には、通信の接続に必要な情報のほか、地震や津波に関する情報(ETWS *1)も含まれています。

 LTEの無線基地局は、送信電力が異なるタイプの基地局があります。具体的には、送信電力が大きいマクロ基地局と、送信電力が小さいスモール基地局があります。

 スモール基地局は、システム情報を報知しません。そのため、スモール基地局に接続しているユーザ装置(スマホや携帯電話端末)は、システム情報を受信することができないという問題があります。

*1: ETWS : Earthquake and Tsunami Warning System

LTEのスモール基地局がシステム情報をマクロ基地局経由で送信

 この発明では、スモール基地局が、そのスモール基地局に関する情報を、近くにあるマクロ基地局に送信します。

 この情報を受信したマクロ基地局は、その情報をユーザ装置に送信します。これにより、ユーザ装置は、スモール基地局に接続するための情報を得ることができるので、スモール基地局に接続することができます。

 また、地震や津波に関する情報もユーザ装置に送信されるようになるので、ユーザ装置の画面表示や音などによりユーザに地震や津波の発生を知らせることができます。

 特許第6055508号 株式会社NTTドコモ
 出願日:2015年4月20日 登録日:2016年12月9日

【課題】
システム情報を報知しない無線基地局に関するシステム情報をユーザ装置に供給する。
【請求項1】
 ユーザ装置と無線通信する無線基地局であって、
 前記ユーザ装置が当該無線基地局と接続するために必要な情報を含むシステム情報を前記ユーザ装置に報知する機能を有しておらず、
 前記ユーザ装置と無線通信する無線通信部と、
 他の無線基地局と通信する基地局間通信部と、
 前記ユーザ装置が当該無線基地局と接続することを補助するために、前記基地局間通信部を介して近隣無線基地局に前記システム情報を送信するシステム情報転送部と、
 前記近隣無線基地局が前記近隣無線基地局の存在を通知する報告を検出する近隣基地局検出部と、
 を備え、
 前記システム情報転送部は、前記近隣基地局検出部で検出された前記報告の送信元である前記近隣無線基地局に前記システム情報を送信する、
 ことを特徴とする無線基地局。

今日のみどころ

 この特許は、スマホや携帯電話などにシステム情報を通知するための発明です。スマホなどを普段使っているときはあまり意識しない、システム内部の方での情報のやりとりに関する発明です。

 スマホや携帯電話などのネットワーク側もどんどん技術が進歩していて、新しい技術が生まれる一方で、新しい技術と古い技術をうまく共存させるための技術もまた進歩しています。

 根本的に新しいことを考えるのは、けっこう難しいですが、だれかが考えた新しい技術と、いままでの技術を共存させて、うまくつなげる技術も、特許のネタになりますよ。