【特許紹介】複数のゲームアプリのデータを独立アプリですれ違い通信する特許発明(ソニー)

図4

 今回は、ゲームアプリのすれ違い通信についての発明を紹介します。

 従来、すれ違い通信のために複数のゲームアプリを起動しておくのが困難であるという問題がありました。

 この発明では、複数のゲームアプリのデータを記憶しておいて独立のアプリで交換することですれ違い通信をします。これにより、複数のゲームのアプリを起動した状態にすることなくすれ違い通信をすることができるようになります。



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すれ違い通信のために複数のゲームアプリを起動しておくのが困難

 従来、ゲーム機のような無線通信端末が無線通信で他のゲーム機とデータを交換する際には、そのデータを処理するためのゲームのアプリ(アプリケーションプログラム)を実行している必要があります。

 そのため、すれ違い通信で複数のアプリが生成するデータをまとめて他の端末と交換したい場合には、その複数のアプリを起動した状態になっている必要があります。

 このように複数のアプリを同時に起動した状態にすることは、ハードウェアリソースの制約によって困難であることもあるという問題があります。

複数のゲームアプリのデータを記憶しておき、独立アプリで交換

図2


図3

 この発明では、ゲームアプリは、実行されているときに、交換するデータに関連する情報(交換データ関連情報)を記憶部に格納します。交換データ関連情報は、後で交換することになるデータそのものや、その交換のときの通信の手順(通信スクリプト)が含まれています。

 そして、ゲーム機が他のゲーム機を通信可能範囲に検出すると、ゲームアプリとは独立のアプリで、その保存していたデータを他のゲーム機に送信します。このとき、ゲームアプリは起動している必要はありません。

 また、ゲーム機がサスペンド状態になっているときでも無線通信部の電力供給が行われているので、他の端末を検出すれば、サスペンド状態から復帰してデータの送信をすることができます。

 このようにすることで、ゲーム機でゲームアプリが起動していない状態でも、そのゲームに関連するデータを他のゲーム機に送信することができます。そのため、複数のゲームのアプリを起動した状態にすることなく、すれ違い通信によって、その複数のゲームのデータを他のゲーム機に送信することができるようになります。

 特許第5898710号 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント
 出願日:2016年12月5日 登録日:2017年6月16日

【課題】
複数のアプリケーションプログラムのそれぞれによって生成されるデータを、他の無線通信端末との間で効率的に交換する。
【請求項1】
 他の無線通信端末との間で無線通信を行う無線通信端末であって、
 複数のアプリケーションプログラムを実行するアプリケーション実行手段と、
 前記各アプリケーションプログラムの実行と独立して、前記他の無線通信端末が検出された場合に、前記複数のアプリケーションプログラムのそれぞれを実行することによって出力される、複数の交換対象データに関連する複数の交換データ関連情報に基づいて、前記他の無線通信端末との間で、前記複数の交換対象データのデータ交換処理を実行するデータ交換手段と、
 を含むことを特徴とする無線通信端末。

今日のみどころ

 ゲーム機がアプリを複数同時に起動した状態にしなくても、複数のアプリのデータをすれ違い通信によって他のゲーム機と交換することができるようになります。

 アプリのデータを記憶部に記憶しておくということがポイントで、とてもシンプルです。こういうアイデアで特許が取れると大きいですよね。