【特許紹介】ウェアラブルデバイスの運動量に応じて通信量を抑制する特許発明(ソニー)

 今回は、ウェアラブルデバイスの通信に関する特許を、通信技術が得意な私が紹介します。

 従来、ウェアラブルデバイスからサーバに画像を送信し続けられない問題があります。

 この発明では、ウェアラブルデバイスの運動量が小さいときに画像の一部を送信するようにします。これにより、ウェアラブルデバイスからサーバへの送信量抑えます。



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 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

ウェアラブルデバイスからサーバに画像を送信し続けられない問題

 スマホなどのカメラなどのイメージセンサで撮影した画像から、その画像に撮影されている物体を検出する処理が行われています。

 一方、メガネ型ディスプレイを搭載したウェアラブルデバイスが利用されています。ウェアラブルデバイスは、PCやスマホと同じように、情報を処理したり、LTEやWi-fiなどの無線通信をしたりすることができます。

 ウェアラブルデバイスで撮影した物体を検出する処理を行う場合、その処理に必要なデータを保有しているサーバに画像を送信してサーバで処理を行うことがあります。

 しかしながら、ウェアラブルデバイスの処理能力やバッテリ容量が限られているので、画像データをサーバに送信し続けることが現実的ではないという問題があります。

ウェアラブルデバイスの運動量が小さいときに画像の一部を送信


 この発明の携帯装置(ウェアラブルデバイス)では、その携帯装置の動きによってサーバに画像を送信するかどうかを制御します。

 具体的には、携帯装置に搭載されているモーションセンサによって携帯装置の運動量を検出します。そして、携帯装置の運動量が比較的大きいときには、無線通信を抑制、つまり、無線通信しないようにします。

 一方、携帯装置の運動量が比較的小さいときには、カメラが撮影した画像のうちの一部をサーバに送信するようにします。サーバに送信される画像の一部は、ユーザが注目している推定される一部です。

 サーバは、送信された画像に対して物体検出処理などをして、その結果を示す情報又は画像を携帯装置に送信します。携帯装置は、サーバから送られてくる情報をディスプレイに表示します。

 このようにして、携帯装置の運動量に応じて、携帯装置のユーザが着目している部分に関する情報がサーバに送信され、その処理結果に応じて情報がディスプレイによってユーザに提示されます。

 特許第6414313号 ソニー株式会社
 出願日:2017年12月6日(分割の原出願日:2013年11月1日) 登録日:2018年10月12日

【課題】
撮影された画像をサーバへ送信する場面において、通信量を適応的に減少させる。
【請求項1】
 ディスプレイと、
 景観画像を撮影するカメラと、
 モーションセンサと、
 サーバと通信する無線通信装置と、
 制御部と、
を備え、
 前記制御部は、
 前記モーションセンサの出力に基づいて第1の動作状態または前記第1の動作状態よりも運動量の小さい第2の動作状態を認識し、
 前記第1の動作状態において、前記無線通信装置による前記サーバへの前記撮影された景観画像の送信を抑制し、
 前記第2の動作状態において、前記撮影された景観画像の全体からユーザが注目していると推定される一部の画像を前記サーバへ前記無線通信装置に送信させ、
 前記サーバから取得される、前記送信された一部の画像に関する付加情報を前記ディスプレイに表示させる、携帯装置。

今日のみどころ

 メガネ型のウェアラブルデバイスは、一時期グーグルグラスが話題になっていましたが下火になり、いまのところあまり普及していないような感じですが、特許は結構あります。身近でアイデアが出やすいからでしょうね。

 メガネ型デバイスもなにかキラーアプリがあれば一気に普及するかもしれません。そのときに特許が役立つかもしれません。メガネ型ウェアラブルデバイスの特許もアイデアがあれば取っておくほうがよさそうです。