ビットコインとかブロックチェーンという言葉を聞いたけど、なんだったのか。知りたい。
この記事では、ブロックチェーンがどのような用途に利用できるのか、社会にどんな形で影響を与えるのかを紹介した本を紹介します。私が実際に勉強のために読んだ本です。感想とともに紹介します。
私は、特許事務所で仕事をしていて、さまざまな技術の勉強をしながら仕事に生かしています。最近はブロックチェーンを利用した技術の特許アイデアも多くなってきているので、本やウェブサイトを利用して勉強しています。
ブロックチェーンの利用例などの本も一冊でいいので入手して読んでみましょう。アマゾンで中古本を安く買うのも1つの方法かも。
ブロックチェーンの利用例や社会への影響を紹介する書籍を紹介
ブロックチェーン技術は、サーバがいない環境(ピアツーピア、P2P)で情報の記録をするしくみでありながら、情報の不正な書き換えができないしくみを提供する技術です。
以前、ブロックチェーンを技術面から紹介した書籍の紹介をしました。
今回は、ブロックチェーンの特徴、メリット、応用例、社会への影響などを紹介した書籍を2冊紹介します。なお、今回紹介する書籍には、ブロックチェーンの技術面の説明は、あまりありません。
ブロックチェーンの未来
第Ⅰ部 ブロックチェーンは社会をどう変えるか
ブロックチェーンへの期待と課題:第Ⅰ部へのガイド
第1章 ブロックチェーンの特徴とメリット
第2章 ブロックチェーンの実用例
第3章 ブロックチェーンを社会基盤とするために
第Ⅱ部 金融はブロックチェーンでどう変わるのか
ビットコインに促された金融業界における新しい競争:第Ⅱ部へのガイド
第4章 仮想通貨のこれまでと未来
第5章 ブロックチェーン技術/分散型台帳技術をめぐる銀行界の取り組み
第6章 銀行の勘定系システムのブロックチェーン実証実験:成果と課題
第7章 中央銀行からみたブロックチェーン
第8章 仮想通貨・ブロックチェーン技術に関する金融庁の取り組み
第9章 FinTechの課題と対応の方向性について
第Ⅲ部 産業インフラとしてのブロックチェーンの可能性
ブロックチェーン技術にはどんな応用可能性があるのか:第Ⅲ部へのガイド
第10章 証券取引の実証実験とスマートコントラクト:成果と課題
第11章 エバーレッジャー社、ダイヤモンド市場への挑戦
第12章 IoTを活用したブロックチェーンの発展可能性
第13章 経済学的にみたスマートコントラクト:不完備契約との関係について
第14章 スマートコントラクトの法的側面について
第15章 シリコンバレーから見るブロックチェーンのポテンシャルと課題
第16章 エストニア電子政府の取り組みについて
Appendix 1.未来年表:ブロックチェーンの未来像
2.「The DAO事件」「Bitfinex事件」から得られる示唆とは
3. ブロックチェーン用語集
ブロックチェーンのメリットとデメリットを紹介したあとで、ブロックチェーンの応用例や実際に使われている例について詳しく説明されています。
さまざまな専門家が章ごとに説明をしています。そのため、専門家ごとの得意分野についての詳しい説明がなれているのが良い点だと思います。その反面、似たような内容が重複して含まれている箇所もありました。ただ、章ごとに内容が完結していて読みやすいとも言えるので一概に悪い点とも言えないと思います。
ブロックチェーンはビットコインとともに有名なったような感じがあるので、どうしても密接に関連しているように思われがちですが、本来は別々の技術です。ビットコインと密接な関係があることの説明もなされており、一方、ビットコインとは切り離した説明もなされているので、正確な知識を得ることができます。
本の全体としては、ブロックチェーンを社会基盤とするための提言(第I章)のあと、仮想通貨(8章)や金融サービスの技術(Fintech)への応用(9章)など金融との関係(第II部)、ブロックチェーンの関連技術としてのスマートコントラクトについても詳しく説明されています(第III部)。
ブロックチェーンの利用例として、ダイヤモンドの取引への適用の例が示されていて勉強になりました(11章)。原石、研磨、加工の各プロセスの所有履歴の管理にブロックチェーンが用いられています。
改ざんされないように管理したいという情報の性質と、改ざんが実質的に不可能であるというブロックチェーンの性質がマッチしているので、うまくいっている例いえると思います。
本全体としては、かなり読みごたえがあります。幸い、章ごとの独立性が高いので、目次を見て興味をもったところから読んでいくことができると思います。
ブロックチェーン革命
第1章 ブロックチェーン革命の到来
第2章 ブロックチェーンの応用(1) ビットコインの成長
第3章 ブロックチェーンの応用(2) 銀行も導入
第4章 ブロックチェーンの応用(3) 証券業に革命的変化
第5章 在来技術型のフィンテックとその限界
第6章 ブロックチェーンは通貨と金融をどう変えるか
第7章 ブロックチェーンの応用(4) 事実の証明
第8章 ブロックチェーンの応用(5) IoT
第9章 分散型自立組織や分散市場がすでに誕生
第10章 分散型自立組織はいかなる未来を作るか
終 章 われわれは、どのような社会を実現できるか
まずブロックチェーンの簡単なメカニズムの説明のあと、応用例の説明があります。応用例として、金融業に関するものが多く、ビットコインなどの仮想通貨への利用、銀行での送金や決済、証券取引、保険への応用例が紹介されています。この部分に重きがおかれているという印象をもちました。
その他、事実の証明、情報やデータの記録、商品の取引履歴、IoTに関連する情報の流通などへの応用例も紹介されています。
技術的にはブロックチェーンの利用に関する内容とともに、スマートコントラクトについてもよく説明されています。最初から最後まで一連の流れとして記載されているので、流れがよく、基本知識とその周辺知識というか応用例を系統だてて理解するのに役立つと思います。
内容的には『ブロックチェーンの未来』と似た感じはあると思います。ただ、『ブロックチェーン革命』の方はは1人の著者が書いているので、内容に一体感があるような気がします。
少し気になったのが、本書籍の説明の理解のためではあるものの、本筋から少し離れた一般論的な説明が挟まれていて、話の流れがつかみにくい部分が少しあったと思います。なのでこの本を読むときには、ときおり目次を確認しながら、いま何の説明がなされているのかを意識しながら読み進めるのが良いと思います。
もう一つ、内容面ではないのですが、ハードカーバーで350ページくらいあるのになんか軽いです。紙が軽いのでしょうか(紙のことはよくしりません)。
ブロックチェーンとビットコインのどちらがメインの本なのかの判断
ブロックチェーンの技術は、ビットコインと密接に関係する技術であり、ビットコインと一緒に有名になったこともあり、本やウェブサイトなどでも一緒に説明されていることがあります。
実際に「ブロックチェーンとビットコインの○○」というように、ブロックチェーンとビットコインが並列に並んだタイトルの本も多いです。
このようにブロックチェーンとビットコインが並列に並んだタイトルの本は、どちらかというとビットコイン寄りで、しかも、ビットコインを投資や投機の対象としてかれているものが多いような気がします。
ブロックチェーンをメインに紹介している本を選びたいときには、「ブロックチェーン」を前面に押し出したタイトルの本を選ぶのがよさそうな気がしています。判断の参考にしてください。
今日の見どころ
ブロックチェーンに関する本2冊を紹介しました。今回はブロックチェーンの技術の中身というよりは、ブロックチェーンの利用例の解説をメインとする本です。
ブロックチェーンがどのような分野に応用できるか、応用されているかを知っておくとよいです。ある分野での使い方を別の分野にもっていくだけで課題解決できたりしますからね。