今回は、ゲーム機のコントローラの振動の制御に関する特許発明について、特許公報を読むのが趣味である私が紹介します\(^o^)/
従来、ゲーム機で仮想オブジェクトの動きをユーザに感じさせることができないという問題があります。
この発明では、仮想オブジェクトの接触時に振動波形を合成した合成波形を出力します。これにより、仮想オブジェクトの動きをユーザに感じさせることができます。
ゲーム機で仮想オブジェクトの動きをユーザに感じさせることができない問題
従来、ゲーム機などで、入力装置(コントローラ)から指示された位置に応じてコントローラを振動させる技術があります。
この技術では、指示された位置に応じて振動するか振動しないかを制御します。
しかし、ゲーム内で登場する物やキャラクタのような仮想的なオブジェクトの動きを振動によってユーザに感じさせることができないという問題があります。
仮想オブジェクトの接触時に振動波形を合成した合成波形を出力
この発明は、ゲーム内で登場する物やキャラクタのような仮想的なオブジェクトの動きを振動によってユーザに感じさせます。ゲーム機が想定されています。
具体的には、複数の仮想オブジェクトの運動を演算して、仮想オブジェクトそれぞれの運動を変化させます。
そして、仮想オブジェクトが他の仮想オブジェクトに接触しているとき、または、接触するときの振動波形を生成します。
最後に、複数の仮想オブジェクトについて生成された振動波形を合成することで合成波形を生成して出力します。
具体例として、箱の中でボールが転がる場合に、ボールが箱に衝突したときとか、ボール同士が衝突したときに、コントローラが振動する例が示されています(図12~14C)。
このようにすることで、コントローラが、複数の仮想オブジェクトの振動をあわせた振動をするようになり、ユーザに振動を感じさせることができます。
特許第6521460号 任天堂株式会社
出願日:2016年12月28日 登録日:2019年5月10日
仮想的なオブジェクトの動きを振動によって感じさせることが可能な情報処理システムを提供する。
【請求項1】
操作部と、
入力された振動波形を示す信号に応じた振動をする振動部と、
第1の仮想オブジェクト及び第2の仮想オブジェクトを含む複数の仮想オブジェクトの仮想的な運動をそれぞれ逐次演算し、前記操作部に対する操作に応じて当該複数の仮想オブジェクトのそれぞれの運動に変化を加える運動演算部と、
前記運動演算部による演算に基づいて、前記第1の仮想オブジェクトが他のオブジェクトに接触しているとき又は接触するときの前記第1の仮想オブジェクトの運動状態に応じた第1の振動波形を示す信号を生成する第1波形生成部と、
前記運動演算部による演算に基づいて、前記第2の仮想オブジェクトが他のオブジェクトに接触しているとき又は接触するときの前記第2の仮想オブジェクトの運動状態に応じた第2の振動波形を示す信号を生成する第2波形生成部と、
前記第1の振動波形と前記第2の振動波形とを合成した合成波形を示す信号を前記振動部に出力する波形出力部と、を備える、情報処理システム。
今日のみどころ
任天堂の発明で、図1~6にニンテンドースイッチがしっかりと描かれています。この発明がニンテンドースイッチを想定しているのがわかります。(ニンテンドースイッチに限定されるわけではないです)
発明のポイントは、2つのオブジェクトの接触時に振動波形を合成するというものでとてもシンプル。発明の抽出というか、発明のポイントの設定が上手だとおもいます。勉強になります。