通信技術系で「網側」という言葉をよく使います。読み方は「あみがわ」ではなく「もうがわ」。
私は通信機器メーカで10年ほど技術開発をしていまして、その後、特許事務所で出願書面の作成などの仕事をして7年近くになります。学会発表や特許出願の経験から、技術用語にもけっこう気を使ってきています。
「網側」の意味や使用事例を説明します。
「網側」とは。読み方は「もうがわ」
通信系の技術用語は、外来語が多く使われますが、対応する日本語があるものもあります。
外来語の「ネットワーク」は、日本語の「網(もう)」の意味です。なので、「通信ネットワーク」が「通信網(つうしんもう)」になります。
そして、ネットワークに接続される端末と通信ネットワークとを対比して表現する場合、端末の方を「端末側」といいます。これに対して通信ネットワークの方を「通信ネットワーク側」といいます。
この「通信ネットワーク側」に対応する日本語表現が「通信網側」で、略して「網側(もうがわ)」になります。
つまり、「網側(もうがわ)」とは「ネットワーク側」の意味です。
イメージ的には、線が接続されたり分岐されたりしてクモの巣のようになったものです。細かい部分をごまかして雲の絵で表現したり、円や楕円のなかに×を入れた図形で表現することもあります。
「網(もう)」を使用する用語の例、通信系では電話網や回線網など
「網(もう)」を用いる言葉は、通信系では、電話網、携帯電話網、固定電話網、回線網、伝送網というような感じでたくさんあります。
通信系以外でも、電力網、送電網、連絡網、交通網、放送網、包囲網というようにたくさんあります。
「網側(もうがわ)」を使用する文章の例
「網側(もうがわ)」の語が含まれている例を特許文献から拾ってみました。このように普通に使われています。もちろん、これ以外にもたくさんあります。
このため、前述のように、通信端末装置100では網側への片方向の通話が可能であり、且つ、相手側からの音声が聞こえない状態(無音状態)になっている。
このとき、網側の着信側のIP電話70は、m=audioのメディア種別には対応しているものの、m=videoのメディア種別には対応していないため、電話番号調査装置10は、SIPサーバ40を介して488エラーメッセージを受信することになる。
伝送網IF16は、無線通信システムのバックホールネットワークに有線回線または無線回線で接続し、バックホールネットワークやコアネットワークに接続された他の無線基地局1を含む伝送網側の装置と有線通信または無線通信を行うためのインタフェース装置である。
しかしながら、自然エネルギー発電装置は、気象条件により発電量が変動し不安定であるため、これをそのまま商用送電網に接続すると、商用送電網側の電力の安定供給に支障を来す。
伝送網IF26は、無線通信システムのバックホールネットワークに有線回線または無線回線で接続し、バックホールネットワークやコアネットワークに接続された他の無線基地局2を含む伝送網側の装置と有線通信または無線通信を行うためのインタフェース装置である。
「網側(もうがわ)」の英訳
「網側(もうがわ)」の英訳について悩んでいる人に。
上記のとおり、「網側」は、「ネットワーク側」の意味です。なので、英訳は、"network-side"又は"network side"がよいと思います。
英訳の目的にもよりますが、「側」があってもなくても同じだと考えられる場合には、"network"と英訳するのもよいかもしれません。どちらがよいかは、どの程度の意訳が許容されるかに応じて検討してください。
特許の英訳で逐語訳が必要な場合には、"network-side"又は"network side"がよいと思います。
今日のみどころ
「網側」の読みは、「もうがわ」で、「ネットワーク側」の意味です。
もう「あみがわ」とは読まないようにできますね。