【コラム】エンジニアの英語勉強におすすめなサイト/私のお気に入りTED

 技術開発に携わるエンジニアは、英語スキルもある程度必要だと思います。

 エンジニアの英語勉強に使えるおすすめなサイトと、そのサイトを使ったおすすめの英語勉強方法を紹介します。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

エンジニアにとっての英語

 要求される成果物の仕様がだいたい決まっている場合や、技術の専門性が低いうちは日本語だけで研究開発を進めていくことができると思います。しかし、外国で先行している技術を取り入れて日本で製品を作ろうとする場合や、日本でまだあまりやられていない研究に取り組もうとする場合、英語の文献を読んだり、英語で研究成果をまとめたりする機会がでてきます。

 また、機会があれば、外国の企業や大学との共同研究や留学、国際学会での発表や交流をしたりするときには、英語でのコミュニケーション力が必要になります。

 私もエンジニア時代に1度、国際学会での発表をする機会がありました。初めての機会だったので、試行錯誤でうまくいかない面もありましたが、視野が広がり、とてもよい勉強になりました。

エンジニアに必要な英語

 エンジニアの英語といっても、特別な言語体系があるわけではありません。エンジニアが英語を勉強する場合、目的が明確なので、その目的だけに向かっていくのが近道だと思います。

 ふつう、英語の勉強をする場合には、あいさつとか、日常会話とか、ビジネス英語とかまんべんなく勉強することになります。一方、エンジニアの場合、英語の文献を読めるだけの英語力、研究成果の発表するための英語、技術のディスカッションをするための英語、など、ある程度狭い範囲の英語でことたりてしまったりします。

 実際に、仕事で外国に行っていた経験がある人でも、英語で仕事をすることができても、日常会話はさっぱりわからないという人もいるくらいです。

英語のプレゼンがたくあんあるTED

 
 技術などを解説するプレゼンの生の英語を聞けるのおすすめのサイトがTEDです。

 TEDは、"Ideas worth spreading"をスローガンとして、講演会「TED Conference」の内容をインターネット上で無料で動画配信しているサイトです。

 TEDでは、いろいろな技術分野の研究成果のプレゼンが提供されています。科学技術だけでなく、エンターテインメント系、デザイン系、思想的な話題などがあります。著名人も登場するし、一般人も登場します。各言語での字幕を表示させることもでき、字幕なしで見ることもできます。

 TEDは、その話題自体がとても興味深いのと、プレゼントしてよく検討されたものであるという両面で優れていると思います。良い面をうまくまねれば、自分のプレゼンの価値を高めることができます。

英語プレゼンのシャドーイング

 私はよく、お気に入りのTEDを見つけて、講演者が話すのに合わせて同じようにしゃべるようにして英語のリズム感をつかんだり、言い回しを覚えたりするのに使っていました。いわゆるシャドーイングというやり方です。

 TEDには、高品質なプレゼンがたくさんあるので、それをまねればいいというわけです。一人になれる空間で、プレゼンターになりきって、何回も繰り返して英語でしゃべってみる。表情や身振り手振りもまじえてやるとすごくよいです。

 そうやった後は、なんとなく口から英語がでやすい感じがします。これを積み重ねると、うまい言い回しが自然に出てくるようになると思いますよ。

私のお気に入りのTEDの紹介

 以下で、私のお気に入りのTEDを紹介します。プレゼンターになりきってプレゼンする練習の参考にしてください。

Christopher deCharms : A look inside the brain in real time
クリストファー・デシャーム : 「リアルタイムの脳スキャナー」

Neuroscientist and inventor Christopher deCharms demonstrates a new way to use fMRI to show brain activity -- thoughts, emotions, pain -- while it is happening. In other words, you can actually see how you feel.

神経科学者であり発明家であるクリストファー・デシャームが、fMRIの新たな使い方をお見せします。思考、感情、苦痛といった脳の活動をリアルタイムに見ることができるのです。つまり、実際にあなたがどう感じているか見ることができるということです。

Neil Harbisson : I listen to color.
ニール・ハービソン:「僕は色を聴いている」

Artist Neil Harbisson was born completely color blind, but these days a device attached to his head turns color into audible frequencies. Instead of seeing a world in grayscale, Harbisson can hear a symphony of color -- and yes, even listen to faces and paintings.

アーティストのニール・ハービソンは完全な色盲として生まれました。しかし、頭に装着したデバイスが、色を音に変換してくれます。ハービソンの目に映る世界はグレイスケールですが、彼の耳は常に色彩に溢れたシンフォニーを聴いています。人の顔や絵画も、彼は耳で聴いているのです。

Marc Abrahams : A science award that makes you laugh, then think
マーク・エイブラハムズ:笑わせ、そして考えさせる科学賞

As founder of the Ig Nobel awards, Marc Abrahams explores the world's most improbable research. In this thought-provoking (and occasionally side-splitting) talk, he tells stories of truly weird science -- and makes the case that silliness is critical to boosting public interest in science.

イグノーベル賞の創設者であるマーク・エイブラハムズは、世界で最も風変わりな研究の数々を紹介します。この示唆に富み―時に抱腹絶倒を巻き起こすトークで、彼は、真におかしな科学の話を紹介します。そして、バカげたことこそ、科学への関心を高めるのに欠かせないのだと言います。

Daniel Tammet: Different ways of knowing
ダニエル・タメット : 異なる認識の仕方

Daniel Tammet has linguistic, numerical and visual synesthesia -- meaning that his perception of words, numbers and colors are woven together into a new way of perceiving and understanding the world. The author of "Born on a Blue Day," Tammet shares his art and his passion for languages in this glimpse into his beautiful mind.

ダニエル・タメットには言語・数値・視覚的な共感覚能力があります。つまり、彼の言葉・数字・色彩に対する知覚は、完全に違った形で世界を感じて理解する組み合わせなのです。「ぼくには数字が風景に見える」の著者であるタメットが自分の絵や言語に対する思いを語り、その並外れた意識を垣間見せます。

Kevin Slavin: How algorithms shape our world
ケヴィン・スラヴィン : アルゴリズムが形作る世界

We live in a world run by algorithms, computer programs that make decisions or solve problems for us. In this riveting, funny talk, Kevin Slavin shows how modern algorithms determine stock prices, espionage tactics, even the movies you watch. But, he asks: If we depend on complex algorithms to manage our daily decisions -- when do we start to lose control?

ケヴィン・スラヴィンは、アルゴリズムのためにデザインされ、コンピュータプログラムによるコントロールが広がり続ける世界に我々は生きていると言います。TEDGlobalで行われたこの魅惑的な講演で、彼は複雑なコンピュータプログラムがいかに多くのことを決しているかを示しています。諜報戦略、株価、映画の脚本、建築デザイン。そして私たちがもはや読めもしなければ結果をコントロールすることもできないコードを書いていることに警鐘を鳴らしています。

今日のみどころ

 英語ができるエンジニアってかっこいいと思います。日常会話からはじめようと思うと遠回りになってしまいます。

 いきなりプレゼンターのマネをしてみて、それに必要な英語を勉強していくというやりかたもよいと思います。

カーマイン・ガロ (著), 土方 奈美 (翻訳) 日経BP (2014/7/19)