AP-STA間の中継局がSTAからのACKを確実にAPに受信させる特許発明 NTTドコモ

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 アクセスポイント(AP)と通信端末(STA)間の中継局でACKが正常に機能しない問題がありました。

 この発明の中継局は、中継局が通信端末からアクセスポイントのフレームを受信したら、SIFS時間+バックオフ時間後に送信します。これによりACKの受信をより確実にすることができます。

 特許第5344986号(特開2010-263297) 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
 出願日:2009年4月30日 登録日:2013年8月23日

AP-STA間の中継局でACKが正常に機能しない問題

 アクセスポイント(AP)と通信端末(STA)との間での無線通信の中継は、基本的には、中継局が受信した電波を送信することで行われます。ACKを用いない通信方式であればこのように単純ですが、ACKを用いる通信方式の場合にはACKが正常に機能しない場合があります。

 具体的には、フレームが長い場合にACKタイムアウトまでの時間内にACKの送信が終了しない、中継装置とAPの両方がACKを送信することでACKが衝突する、という問題が起こりえます。

中継局がSTAからAPのフレームを受信したらSIFS+バックオフ後に送信

 本発明では、中継局がSTAからAPへのフレームを受信したら、STAにACKを送信するとともに、受信したフレームをAPに送信します。これにより、STA-無線中継局間のACKのやりとりと、無線中継局-AP間のACKのやりとりとを分断し、それぞれがうまくいくようにしています。このとき、中継局がAPに対してフレームを送信するタイミングをSIFS+バックオフ時間後にすることにしています。これにより、このフレームより先に他のSTAなどによりフレームが送信されることを防止します。

 上記の構成だけでは、STAと無線中継局が直接通信できない配置のとき(図11)、APがSTAに送信するフレームに対するACKの衝突の問題が発生します。そこで、本発明ではさらに、再送フレームについては2回目以降中継しないという動作をします。これによりACKの受信をより確実にすることができます。

(用語)
SIFS(シフス):Short Inter Frame Space、CSMA/CAでのフレーム送信間隔における最短の待ち時間。Ackフレームなどの送信前の待ち時間に用いられる。
CSMA/CA:Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance、無線LANの通信規格のIEEE802.11a、802.11b、802.11g の通信手順として採用されているもの。

【課題】
APとSTAとの間で通信されるフレームを中継する無線中継局を提供することを目的とする。
【請求項1】
 無線通信機器から送信されたフレームを受信する受信部;
 受信フレームの種別を判断するフレーム種別判断部;
 受信フレームが初回送信フレームであるか再送フレームであるかを判断する再送判断部;
 受信フレームの宛先の無線通信機器から第1の受信確認フレームが送信されたか否かを判断する判断部;
 前記判断部において第1の受信確認フレームが送信されていないと判断された場合、前記受信部がフレームを受信してから所定の送信待ち時間及びバックオフ時間後に、受信フレームの送信元の無線通信機器に第2の受信確認フレームを送信する受信確認フレーム送信部;及び
 前記受信確認フレーム送信部が第2の受信確認フレームを送信してから所定の送信待ち時間後に、受信フレームを受信フレームの宛先の無線通信機器に中継するフレーム中継部;
 を有し、
 前記フレーム種別判断部において受信フレームがユニキャストフレームであると判断された場合、前記判断部は、前記フレーム中継部が中継したフレームの宛先の無線通信機器から第3の受信確認フレームが送信されたか否かを判断し、
 前記判断部において第3の受信確認フレームが送信されていないと判断された場合、且つ、前記再送判断部において受信フレームが再送フレームであると判断された場合、前記受信確認フレーム送信部は、再送フレームについて第2の受信確認フレームの送信を停止し、前記フレーム中継部は、再送フレームについて受信フレームの中継を停止する無線中継局。

今日のみどころ

 APとSTAとの間でフレームを中継する無線中継局は、基本的な動作は単純なものです。しかし、送信者及び受信者それぞれが、無線中継局がない場合と同じようにACKのやりとりをするようにし、また、通信の成功率を高めたり遅延を少なくするために他の通信が割り込んでこないようにすることを考えると、細かな工夫が必要になってきます。

 このあたりの課題を解決する方法を具体的に考えていくと、本発明のような技術に至るように思います。課題を具体的にとらえ、その課題に対する具体的な解決方法を考えていくと発明につながりやすいと思います。