従来のデバイスサーバは、画面をもたないホスト機器から利用できないという問題がありました。この問題を解決する発明です。
この発明のデバイスサーバは、デバイスサーバとホスト機器に搭載した操作ボタンを使ってデバイスを決定します。これにより、画面をもたないホスト機器からデバイスサーバを利用できるようにあんります。
特許第6118969号 サイレックス・テクノロジー株式会社
出願日:2013年5月31日 登録日:2017年4月7日
画面をもたないホスト機器がデバイスサーバを利用できない問題
USB機器をネットワーク経由で使えるようにするためのデバイスサーバという製品があります。PCにはUSB機器のドライバがインストールされ、USBでやりとりされるパケットをカプセル化してネットワークに流すことで、ネットワークの先にあるUSB機器を利用することができます。
PCなどのホスト機器がデバイスサーバを介して利用するUSB機器は、PCの画面上に表示される機器一覧画像を利用して選択するのが一般的でした。
しかし、この方法では、画面を持たないホスト機器の場合に、USB機器を選択することができないという問題がありました。
操作ボタンを使ってデバイスを決定
この発明のデバイスサーバでは、デバイスサーバとホスト機器とのそれぞれに、操作ボタンがつけられています。
ホスト機器のボタンを操作すると、ホスト機器は、デバイスサーバを介して利用可能なUSB機器の情報の受信待ち状態になります。デバイスサーバのボタンを操作すると、デバイスサーバは、周辺機器の接続を待ち、周辺機器が接続されると、接続された周辺機器の情報をホスト機器に送信します。
すると、ホスト機器は、デバイスサーバから送られてきた周辺機器の情報に示された機器に、デバイスサーバを介して接続します。
このようにすることで、ホスト機器が画面を持っていない場合でも、ボタン操作だけで、デバイスサーバを介してUSB機器を利用することができるようになります。
なお、この方法は、無線LANのアクセスポイント(AP)と、PCやスマホなどのステーション(STA)との間で行われるWPS(*1)のやりとりと同時に行うことも想定されています。
*1 : WPS(Wi-Fi Protected Setup) 無線LAN機器同士の暗号化設定を容易に行えるようにするための規格。
デバイスサーバシステムにおいて、ディスプレイやキーボードを備えていないクライアント側の機器に対して、クライアントとデバイスサーバの間の接続設定方法を提供する。
【請求項1】
クライアントと、周辺機器が接続されたデバイスサーバとが、仮想接続装置を介してネットワーク接続され、デバイスサーバ及び仮想接続装置がクライアントと周辺機器との通信を相互に変換することにより、クライアントと周辺機器との間においてネットワークを経由した通信が可能であるデバイスサーバシステムにおけるデバイスサーバ接続設定方法であって、
前記仮想接続装置は、
第1スイッチ動作により、接続が認識された周辺機器の情報を前記デバイスサーバから受信できる状態に遷移し、
前記デバイスサーバは、
第2スイッチ動作により、周辺機器の接続待ち状態に所定時間だけ遷移し、
接続が認識された場合、接続された周辺機器の情報を同報通信することを所定の時間間隔を空けて繰り返し、
同報通信を受けた当該仮想接続装置は、
クライアントと当該デバイスサーバに接続された周辺機器とをネットワーク経由で通信させることを決定する、
ステップを含むことを特徴とするデバイスサーバ接続設定方法。
今日のみどころ
いままでもいくつか紹介したデバイスサーバに関する特許です。画面を持たないホスト機器でもデバイスサーバを介してUSB機器を利用できるようになります。
既に普及している、アクセスポイント(AP)とPCやスマホなどのステーション(STA)との間でのWi-Fi設定のためのWPSと同じように、ボタン操作をきっかけとして動作するようになっています。むしろ、WPSと同時に処理が進むように、WPSの処理にのっかって動くように設計されたとも言えるのではないかと思います。
既に普及している技術にのっかって便利な機能を付加するというやり方は、従来品に一工夫を追加するということで、新しいアイデアを生む良い方法の1つです。すばらしい。