今回は、Wi-Fiなどの端末が接続するアクセスポイントを選択するときの技術に関する特許を紹介します。
従来、特定のアクセスポイントに無線通信端末が集中して接続する問題あります。
この発明の端末は、無線通信の電波と、無線通信以外の電波とをスペクトル解析してアクセスポイントを選択します。これにより、スペクトル解析の結果に基づいて、より通信品質が高い通信を行うことができるアクセスポイントを選択できるようになります。
特許第6347216号 サイレックス・テクノロジー株式会社
出願日:2015年1月30日 登録日:2018年6月8日
特定のアクセスポイントに端末が集中して接続する問題
オフィスなどで複数の無線LAN(Wi-Fi)のアクセスポイントが設置されている場合、PCやスマホ等の無線通信端末は、複数のアクセスポイントの中から通信品質が高いと推定されるアクセスポイントを選択して接続します。
その選択方法の1つとして、アクセスポイントから受信する信号の受信強度(RSSI)が大きいアクセスポイントに優先的に接続する方法があります。
しかし、この方法だと、アクセスポイントの実際の通信量などが考慮されないこともあり、端末が接続するアクセスポイントが特定のものに集中し、通信のボトルネックになるという問題があります。
無線通信の電波と、無線通信以外の電波とをスペクトル解析してアクセスポイントを選択
この発明の無線通信端末は、アクセスポイントが送信する無線通信の電波と、その無線通信の電波とは異なる電波とを受信します。そして、受信した電波の周波数帯域ごとの強度の解析(スペクトル解析)をします。
無線通信の電波とは異なる電波には、例えば2.4GHz帯のWi-Fi通信の場合には、同じく2.4GHz帯の他の通信方式(Bluetooth、ZigBeeなど)の電波や、電子レンジが放出する電磁波も含まれます。
そして、スペクトル解析の結果に基づいて、通信チャネルごとの受信電波強度がより小さいチャネルで通信可能なアクセスポイントを選択して無線通信を確立します。
このようにすることで、より通信品質が高い通信を行うことができるアクセスポイントを選択して、通信を行うことができるようになります。
より良好に無線通信することができる基地局を決定する無線通信端末等を提供する。
【請求項1】
無線通信端末であって、
前記無線通信端末との通信リンクを確立可能な複数の基地局を示す基地局情報を取得する基地局情報取得部と、
前記無線通信端末による無線通信の電波と、前記無線通信の電波とは異なる電波とを含む、電波の状況を示す状況情報を取得する状況取得部と、
前記複数の基地局のうち前記無線通信端末が通信リンクを確立する接続先基地局を決定する決定部とを備え、
前記決定部は、
前記状況取得部が取得した前記状況情報に基づいて、確立する前記通信リンクにおける無線通信の品質がより高いと推定される基地局を、より優先的に、前記接続先基地局として決定し、
前記状況取得部は、
前記無線通信端末による無線通信の電波と、前記無線通信の電波とは異なる電波とを含む電波に対する周波数ごとの受信電波強度の解析であるスペクトル解析を行うことで、前記無線通信端末による無線通信の電波と、前記無線通信の電波とは異なる電波との通信チャネルごとの受信電波強度を、前記状況情報に含まれる情報として算出し、
前記決定部は、
前記スペクトル解析の結果に基づいて、受信電波強度がより小さい通信チャネルで通信リンクを確立可能な基地局を、より優先的に、前記接続先基地局として決定する
無線通信端末。
今日のみどころ
無線通信のアクセスポイントを選択するのに、無線通信以外の電波も考慮するというところがポイントです。近くで電子レンジを使っていると、自動的に、電子レンジと同じ2.4GHzを避けて5GHzを使うようになるということだと思います。
これは便利そう。