通信状況の変化に応じて各基地局の使用チャネルのパターンを切替る特許発明 NTT

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 無線LAN(Wi-Fi)の複数の基地局(アクセスポイント)のチャネル割り当てに関する発明です。時間経過に伴って変化するチャネルの通信状況の変化に追従できない問題を解決する発明です。

 複数の基地局を制御するための集中制御局が、各基地局が使用する通信チャネルの複数のパターンを決定し、そのうちの1つのパターンを選択して各基地局に設定します。

 これにより、基地局ごとのスループットが固定されるのを防ぐことができます。

 特許第5639031号(特開2013-093708) 日本電信電話株式会社
 出願日:2011年10月25日 登録日:2014年10月31日



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

時間経過に伴って変化するチャネルの通信状況の変化に追従できない問題

 従来、インターネットなどに接続された無線LAN(Wi-Fi)の基地局(アクセスポイント)が存在するネットワークで通信チャネルの割り当てパターンを設定する技術があります。

 この従来技術では、何らかの情報に基づいてチャネルのパターンを決定し設定するところまでの技術にとどまっています。この従来技術だけでは、時間経過に伴って変化するチャネルの通信状況の変化に追従できず、また、一部の基地局ではスループットが低くなるという問題があります。

各基地局が使用する通信チャネルのパターンを順次切り替え

 そこで本発明では、集中制御局が、各基地局が使用する通信チャネルのパターンを複数設定し、その複数のパターンを順次切り替えるように各基地局が使用する通信チャネルを切り替えます。

 これにより、時間経過に伴って変化するチャネルの通信状況の変化に応じてチャネルを変化させるとともに、基地局ごとのスループットが固定されるのを防ぐことで特定の一部の基地局のスループットが継続的に低く抑えられることを回避することができます。

【課題】
集中制御局に接続された複数の基地局装置に割り当てられるチャネルを適切に切り替える技術を提供することを目的とする。
【請求項1】
 複数の基地局装置と、前記複数の基地局装置に接続された集中制御局装置と、を備える無線通信システムであって、
 前記集中制御局装置は、
 複数のチャネル割り当てパターンを記憶するチャネル割り当てパターン記憶手段と、
 複数のチャネル割り当てパターンの内の一つのチャネル割り当てパターンに切り替える切り替え時間を決定するスケジュール手段と、
 当該チャネル割り当てパターンの切り替え時間より一定時間以上早い時間に、前記複数の基地局装置に、チャネル割り当てパターンへの切り替えを通知するチャネル割り当てパターン通知手段と、
 前記複数の基地局装置のチャネルが正常に切り替わったことを確認する基地局チャネル変更確認手段と、を備え、
 前記基地局装置は、
 切り替え時間の前に通信相手端末へ一定時間チャネルの切り替えを通知するチャネル切り替え通知手段と、
 切り替え時間に前記集中制御局装置に指定されたチャネル割り当てに変更するチャネル変更手段と、
 通信相手となる端末が正常にチャネル切り替えに成功したことを確認し、前記集中制御局装置に通知するチャネル変更正常終了通知手段と、を備える無線通信システム。

今日のみどころ

 複数のチャネル割り当てパターンを記憶しておいて、そのうちの1つのパターンに切り替えるという点がポイントと考えられますが、これで特許がとれているというのが少々意外に思います。

 このような技術がいままで開示されていなかったということで、意外な盲点であったのかもしれません。一見難しいと思っても、特許が取れたら大きいと考えて出願してみると、意外にうまくいく場合もあります。

 なお、請求項1の「切り替え時間」の「時間」は、時刻の意味(時間軸上の一点)と思われますので、そのように記載するほうがよいように思いました。