看護師が呼び出しに迅速に対応できるナースコールシステムの発明 医療情報技術研究所

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 病院などに設置される、IPフォンを用いたナースコールシステムに関する発明です。
 このナースコールシステムでは、ベッドサイドに設置されたボタン又はセンサ等からアラーム情報を受取ってIPフォンに送信することに加えて、そのアラーム情報の履歴をIPフォンに提供します。看護師はIPフォン上のアラーム情報の履歴を閲覧することで、遅れることなく、漏れなく、患者の対応をすることができます。

 特許第5813199号 株式会社医療情報技術研究所
 出願日:2014年10月16日 登録日:2015年10月2日



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

従来の表示板のシステムでは、看護師が表示板を見に行かなければならない

 従来のナースコールシステムとして、ベッドサイドのボタン、センサーマットまたは映像の解析結果(アラーム発生手段)から表示板に直接に通知するシステム、ベッドサイドのボタンから看護師のPHS又はIPフォン等をコールするシステムなどがありました。
 しかし、表示板に通知するシステムでは、看護師が逐一表示板を見に行く必要があり患者への対応が遅れるという問題がありました。また、PHS又はIPフォンを用いるシステムでは、1つのコールに受け応えをしているときに他のコールがあった場合に対応できない、又は、対応が遅れるという問題がありました。

看護師がIPフォン上でアラーム履歴を閲覧

 そこで、本発明のナースコールシステムでは、ベッドサイドの設置されたボタン又はセンサからのアラーム情報と、このアラーム情報に対する看護師の対応との履歴を管理し、IPフォンと共有するようにしています。
 看護師は、IPフォン上で上記履歴を閲覧することで、未対応のアラームに対応することができるようになります。また、対応したアラームを対応済みとみなすことで、未対応のアラームだけを閲覧することもできるようになっています。

【課題】
複数のナースコールの同時呼び出しがあっても、各々に対してスタッフが迅速に対応でき、また、ナースコールやセンサーマット以外に映像などの情報を活用して異常を検知し、さらにはナースコールシステム全体をウェブ仕様に統合することにより、安価で高性能なナースコールシステムを提供する。
【請求項1】
 患者のベッドサイドに設置されたアラーム情報発生手段、発生したアラーム情報を通信回線を介して集約するアラーム情報集約手段、集約されたアラーム情報をスタッフに通知するアラーム情報通知手段、当該患者の状況をスタッフが把握するためのベッドサイド状況把握手段、スタッフの携帯するIPフォンである通信端末、アラーム情報や当該アラーム情報に対するスタッフの通信端末からの対応などの発信履歴記録を作成、管理する発信履歴管理手段、前記発信履歴記録を前記IPフォンと共有する発信履歴記録共有手段を備えたナースコールシステムであって、
 さらに、新着のアラーム情報を前記発信履歴管理手段から取得し、アラーム情報メッセージサーバーを介して前記IPフォンに対して、プッシュ型のアラーム情報メッセージを送信するアラーム情報メッセージ送信手段、前記IPフォンは、受信したアラーム情報メッセージを画面に表示したり音声でメッセージへの注意を喚起したりするアラーム情報メッセージ受信手段を備えていることを特徴とするナースコールシステム。

今日のみどころ

 病院では様々な患者からの様々な要求が発生し、その要求を限られたスタッフで対応することが必要になります。そこで、このナースコールシステムでは、複数の患者からの緊急度の異なるアラームを、看護師が適切に対応できるように看護師に視認させることができます。本発明のポイントは、アラーム情報の履歴を管理して看護師に閲覧可能としたことです。
 病院で発生するさまざまな要求の対応に少しでも貢献することができるとよいと思います。