他の車載装置の通信パラメータと輻輳レベルに基づき輻輳制御する発明 NEC

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 他の車載装置との間で行う無線通信の輻輳を回避する車載装置に関する発明です。通信相手の車載装置の通信パラメータを取得するとともに、無線通信の輻輳レベル(混雑度合い)を測定します。

 そして、測定した輻輳レベルが所定範囲を逸脱した場合に、輻輳レベルを所定範囲内に収めるように自装置の通信パラメータを調整します。通信機能を搭載したカーナビなどに搭載可能な技術と考えられます。

 特許第5804178号(WO2013/125140) 日本電気株式会社
 出願日:2012年12月18日 登録日:2015年9月11日



 ※特許の本の紹介。
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車載通信装置間での無線通信の不安定性の問題

 車両に搭載される通信装置(車載装置)は、他の車両に搭載された通信装置との間で電波による無線通信を行います。電波は空間を伝播するので、電波による無線通信を行う通信装置が狭い範囲内に多く存在すると、電波の干渉により輻輳が生じ、通信の失敗が多くなる傾向があります。

 このような通信の失敗を解決すべく検討された従来技術では、通信装置間での通信パラメータの差が大きくなり、無線通信が不安定になるという問題が生じることが知られています。

通信の輻輳を抑えるように自装置のパラメータを調整

 そこで、本発明では、無線通信の輻輳が発生しているか否かを測定し、輻輳が発生している場合には輻輳を抑えるように、輻輳に関連する自装置の通信パラメータを調整します。

 具体的には、通信パラメータの値が大きいほど輻輳レベルが高くなる通信パラメータ(例えば送信電力、請求項1の所定パラメータに相当)を小さくすることで、輻輳レベルを所定範囲に収めるようにします。また、通信パラメータの値が大きいほど輻輳レベルが低くなる通信パラメータ(例えば受信感度又は通信レート、請求項8の特定パラメータに相当)を大きくすることで、輻輳レベルを所定範囲に収めることもします。

 さらに、他の通信装置から取得した通信パラメータと自装置の通信パラメータとの差が大きくならないように、自装置の通信パラメータを調整します。

【課題】
車両同士の通信用のパラメータの差を低減しつつ、通信の混雑状況に応じた輻輳制御を実施可能な車載装置および輻輳制御方法を提供する。
【請求項1】
 複数の車両のそれぞれに搭載される所定車載装置と無線信号により通信を行う車載装置であって、
 前記無線信号を検出して輻輳レベルを測定する測定手段と、
 前記所定車載装置のそれぞれから、該所定車載装置の通信に関するパラメータのうち、パラメータの値が大きいほど輻輳への寄与度が大きくなる所定パラメータの値を受信する受信手段と、
 前記測定手段が測定した輻輳レベルが、設定された所定範囲外にある場合、前記輻輳レベルと前記所定範囲内の値との大小関係、および、前記受信手段が受信した所定パラメータの値と自装置の前記所定パラメータの値との大小関係を考慮して、自装置の前記所定パラメータの値を、輻輳レベルが前記所定範囲内になるように設定する制御手段と、を含む
車載装置。

今日のみどころ

 車車間通信での輻輳制御に関する発明です。無線通信では、有線通信に比べて通信ロスが多く発生するので、輻輳レベルを所定範囲に収めるなどして通信ロスを少なくする工夫が必要です。この発明では、他の通信装置の通信パラメータと、無線通信の輻輳レベルとに基づいて、自装置の通信パラメータを調整します。

 なお、この制御方法に、車車間通信特有の制御が含まれているかどうかが気になったのですが、読み取れませんでした。