情報の古さを用いてアドホックネットワークで迅速に情報共有する発明 NEC



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 アドホックネットワーク(無線マルチホップネットワーク)の通信端末間で情報コンテンツを迅速に共有する共有方法に関する発明です。

 新しい情報を保有する端末は、通信可能な隣接通信端末(相手装置)が保有している情報と、自装置が保有している情報との間で共通する情報がある場合に、共通する情報の少なくとも1つを保有していない、又は、古い情報を保有していると相手装置に認識されるように通知するとともに、その新しい情報を提供します。

 その後、提供を受けた相手装置が保有している情報を周囲に送信することで、相手装置の周囲に情報が転送され、ネットワーク全体でコンテンツを共有します。スマホ、携帯電話、PC等に適用可能な技術です。

 特許第5803904号(WO2011/114584) 日本電気株式会社
 出願日:2010年12月3日 登録日:2015年9月11日



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端末に順次に情報を提供する従来手法では、迅速性に問題

 アクセスポイントを用いないで、無線通信端末同士が無線通信する形態のネットワーク(アドホックネットワーク、無線マルチホップネットワーク)があります。アドホックネットワークでは直接に無線通信ができない無線通信端末同士が、他の無線通信端末による中継を利用して通信フレームをマルチホップさせて通信します。

 アドホックネットワーク内の移動する無線通信端末に情報をいきわたらせるための通信方法として、Epidemicアルゴリズムがあります。Epidemicアルゴリズムでは、端末の移動により、端末と通信可能となった端末に順次に情報を提供することで情報をネットワーク内にいきわたらせます。Epidemicアルゴリズムでは、新しい情報を受信した端末が、受信した情報を隣接する端末に送信することが迅速に行われないという問題があります。

共有する情報の1つを保有していないように見せることで迅速に送信

 そこで、本発明では、新しい情報を保有する端末は、その新しい情報を相手に送信すべきタイミングにおいて、自装置と相手装置との両方が保有している情報の1つを保有していない、又は、古い情報を保有していると相手装置に認識されるように通知して提供します。

 提供を受けた相手装置は、相手装置の周囲に迅速に送信します。このときに送信される情報には、上記の1つの情報が含まれています。その結果、相手装置の周囲に情報が転送され、ネットワーク全体にコンテンツがいきわたるようになります。

【課題】
通信端末から当該通信端末と隣接する通信端末へ情報を送信した後に、当該情報を受信した通信端末が情報を迅速に送信できる情報共有方法および通信端末を提供する。
【請求項1】
 無線によって互いに通信可能な範囲内にある複数の通信端末それぞれが保有する情報を互いに共有する情報共有方法であって、
 前記通信端末が、当該通信端末が保有する情報を前記複数の通信端末のうち当該通信端末以外の通信端末である他の通信端末へ通知するための第1の通知メッセージを前記他の通信端末へ送信する際、当該通信端末が保有する情報と前記他の通信端末が保有する情報とで互いに共通する情報があるかどうかを調査する調査処理と、
 前記通信端末が、前記調査の結果、前記共通する情報がある場合、該共通する情報のうち少なくとも1つの情報を選択し、該選択した情報を前記他の通信端末へ通知しないように前記第1の通知メッセージを変更し、該変更した第1の通知メッセージを前記他の通信端末へ送信する変更処理と、
 前記通信端末が、前記調査の結果、前記共通する情報がない場合、前記第1の通知メッセージを変更せずに前記他の通信端末へ送信する処理と、
 前記通信端末が、前記他の通信端末が送信した、該他の通信端末が保有する情報を通知するための第2の通知メッセージを受信した際、該受信した第2の通知メッセージと当該通信端末が保有する情報とに基づいて、前記第1の通知メッセージを送信する必要があるかどうかを判断する処理と、
 前記第1の通知メッセージを送信する必要があると判断した場合、前記第1の通知メッセージを送信する処理とを行い、
 前記調査処理は、前記通信端末が、前記他の通信端末との間で前記第1の通知メッセージと前記第2の通知メッセージとを定期的に交換することで前記他の通信端末が保有する情報を監視し、前記第2の通知メッセージの受信履歴と当該通信端末が保有する情報とを比較することにより、前記共通する情報があるかどうかを調査する情報共有方法。

今日のみどころ

 アドホックネットワークでのEpidemicアルゴリズムの特徴をうまく利用して、Epidemicアルゴリズムの欠点である、新たな情報の伝達の遅さを解決する発明です。すでにある技術をベースとして、その技術の欠点を見つけ、欠点を克服するように考えると、ゼロから新しいものを考えるより楽に発明が生まれやすいと思います。

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