ケアタイム中の誤った呼び出しを防止するナースコールシステムの発明 ガードアイ

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 従来、ナースコールシステムを使用しているときに、介護者の介護に時間がかかると、誤って呼び出しが行われる問題がありました。

 この発明では、ケアタイム中には呼び出しを停止するとともに、ケアタイムの終了時に介護中なら自動的にケアタイムを延長することで、誤った呼び出しを防止します。

 特許第6055238号 株式会社ガードアイ
 出願日:2012年8月28日 登録日:2016年12月9日



 ※特許の本の紹介。
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介護に時間がかかると誤って呼び出しが行われる問題

 介護の現場で、介護者と被介護者とのコミュニケーションのためにナースコールシステムが用いられています。ナースコールシステムでは、被介護者が起き上ったりしたことを人感センサで検知して介護者に通知するものがあります。

 しかし、介護している介護者を人感センサが検知してしまうと、誤って呼び出しが行われることがありました。これを解決するために、介護者が被介護者のベッドサイドの停止ボタンを押した後の一定時間中はセンサが検知をしないようにする技術がありました。

 しかしながら、介護者による介護に一定以上の時間がかかってしまった場合には、誤って呼び出しが行われるという問題がありました。

ケアタイム中は呼び出しを停止し、介護中なら自動的に延長

図2


図3

 この発明の電子ナースコール装置では、呼び出しがなされるとケアタイムという所定時間が設定されます。ケアタイムは、介護者が被介護者に対する介護をするための時間です。

 そして、ケアタイム時間が終わるまでは、人感センサが人を検知しても再度の呼び出しがされないように制御されます。これにより、ケアタイム内に呼び出しがされることが防止されます。

 さらに、ケアタイムの終了前に設定される期間内にセンサが人を検知すると、ケアタイムの計測をリセットする、つまり、ケアタイムの延長をします。介護に想定以上の時間がかかった場合には、この期間内にも介護が継続していて介護者が人感センサに検知されるので、介護者が明示的にボタン操作などをしなくても自動的にケアタイムが延長されます。

 このようにして、ナースコールシステムで誤って呼び出しされることが防止されます。

【課題】
 利用者に負担を強いることなく呼び出し等が誤って行われることを防止する
【請求項1】
 人感センサが動体を検出したことに応じて発信する無線信号を受けて、動作開始信号を生成する無線受信部と、
 前記動作開始信号に応じて通報信号を生成する通報信号生成部と、
 前記通報信号に応じてケアタイムの計時を開始して前記ケアタイムの経過時間に応じて前記通報信号生成部による前記通報信号の生成の可否を制御するケアタイム制御部と、を有し、
 前記ケアタイム制御部は、前記ケアタイムが予め設定された終了時間に達するまで前記通報信号生成部による前記通報信号の生成を停止させ、前記終了時間の前に設定される終了予告期間の間に前記動作開始信号の入力があった場合には、前記ケアタイムの計測値をリセットした上で再度計時処理を行う電子ナースコール装置。

今日のみどころ

 人感センサと連携したナースコールシステムでの介護者の負担を軽減する発明です。普段は被介護者の動作を検知するための人感センサが、介護者の検知をする目的で利用されているところがおもしろい点です。

 介護の業界は、まだあまり特許出願が多くないと思います。その分、特許を取りやすいかもしれません。新しいことを始めようとしている方は特許をとることを考えてみましょう!