今回は、仮想通過やブロックチェーンに関する特許を紹介します。
仮想通貨の法定通貨に対する価値を安定化させる必要があります。
この発明では、銀行等がサーバから固定価格を含む情報をスマホに送信します。スマホはこの情報に基づいて仮想通貨の交換をします。また、取引にブロックチェーンが使われます。これにより、仮想通貨の価格を安定化させる効果があります。
ビットコインなどの仮想通貨の価格を安定化させる必要
ビットコインなどの仮想通貨が活用されています。仮想通貨はセキュリティが確保されていて商取引の決済手段として使われることが想定されています。
しかし、仮想通貨の法定通貨に対する価値が変動します。そのため、仮想通貨は、現時点では、商取引の決済手段として、というよりは、投機対象として注目を集めています。
そのため、仮想通貨の法定通貨に対する価値を安定化させることが必要とされています。
銀行等がサーバから固定価格を含む情報をスマホに送信
この発明では、仮想通貨を発行する主体(銀行等)が管理する仮想通貨の法定通貨に対する価値を安定化させることを目的としています。
銀行等は、発行する仮想通貨の法定通貨に対する価格を固定価格とします。そして、この価格を含む情報(変換依頼信号)を、銀行等が管理するサーバからユーザ端末(スマホ等)に送信します。
ユーザ端末は、この固定価格で法定通貨と仮想通貨との交換をする場合には、銀行が管理するサーバに対して交換を要求する情報(変換要求信号)を送信します。
これにより、仮想通貨の市場価格が変動する場合であっても、ユーザが固定価格で取引する方を優先するようになります。その結果、市場価格を固定価格へ近づける効果が期待されます。
取引の検証と保存をブロックチェーンに記録して管理
ユーザ端末が変換要求信号を送信したあとに行われる取引(トランザクション)の検証と保存は、一例としてブロックチェーンに記録されます。
これにより、取引の透明性を維持しながら、改ざんを防止できる効果があります。
特許第6352463号 株式会社三菱UFJ銀行
出願日:2017年2月21日 登録日:2018年6月15日
仮想通貨の価値、すなわち、法定通貨に対する仮想通貨の価格を安定させるための装置と方法、およびこの方法を実現するためのプログラムを提供する。
【請求項1】
法定通貨に対する交換率が変動しうる仮想通貨と前記法定通貨間の固定の第1変換率を含む変換依頼信号を通信端末に送信する送信部と、
送信された前記変換依頼信号に応じた、前記仮想通貨と前記法定通貨間の変換を要求するための変換要求信号を前記通信端末から受信する受信部とを備える仮想通貨管理装置。
今日のみどころ
仮想通貨の価値を安定化させる効果が期待される特許です。請求項1の構成要素が送信部と受信部の2個だけで、記載もシンプルにまとめられていることから、発明のポイントがしっかりと絞り込まれていることが読み取れます。
また、出願と同時に早期審査を請求していることから、短期間で権利化を望んでいたことがわかります。また、拒絶査定後、拒絶査定不服審判によって権利が成立していることから、出願人にとってどうしても権利化したい、重要な発明であることがわかります。