Bluetoothなどの近距離無線通信を行う無線通信端末に関する発明です。
この無線端末は、近距離無線通信の通信相手との距離が大きくなると、CPUへの電力供給を停止(通信インタフェースへの電力供給は維持)する「超スタンバイモード」に遷移します。超スタンバイモードは、消費電力が2mA程度になる低消費電力状態です。これにより、普通のスタンバイモードより高い消費電力低減効果を発揮します。
特許第5925636号(特開2014-36433) シャープ株式会社
出願日:2012年8月10日 登録日:2016年4月28日
スタンバイモードでのCPUの電力消費が問題
Bluetoothのような近距離無線通信の通信インタフェースを搭載した無線通信端末(例えばスマホや携帯電話端末)があります。このような無線通信端末は、消費電力を削減することが求められます。
従来、近距離無線通信の通信相手との距離などに基づいて通信インタフェースを起動させないことにすることで消費電力を削減する技術があります。通信可能な距離に通信相手がいない場合には通信インタフェースで消費する電力が無駄になるためです。
しかしながら、通信インタフェースを起動させないようにしても、CPUを含む制御部への電力供給はされたままでした。これでは省電力が不十分であるという問題があります。
CPUへの電力供給を停止させる超スタンバイモードで電力消費を削減
この発明の無線通信端末は、通常モード、スタンバイモードという二つの動作モードに加えて、超スタンバイモードという動作モードを有しています。超スタンバイモードは、CPUを含む制御部への電力供給が停止され、通信インタフェースへの電力供給が維持されている状態です。各モードでの消費電力は、通常モードで数100mA、スタンバイモードで数mA、超スタンバイモードで2mA程度です。なお、この無線通信端末は、制御部及び通信インタフェースそれぞれに独立に電源供給できることを前提としています。
また、無線通信端末は、通常モード又はスタンバイモードにおいて相手装置との距離が所定距離以上となると超スタンバイモードに移行し、その反対に、超スタンバイモードにおいて相手装置との距離が所定距離未満となると通常モード又はスタンバイモードに遷移します。相手装置との距離は、無線通信のRSSIから得られます。
超スタンバイモードに移行して制御部の電力消費を抑えることで、従来より電力消費を抑える効果があります。
省電力効果が高い無線通信装置を提供する。
【請求項1】
装置内の制御を実行する制御部と、前記制御部から独立して作動することができ、予め設定されている相手装置と通信可能な無線通信部と、前記制御部及び無線通信部に通電する電源部とを備える無線通信装置であって、
前記相手装置との距離が、第1の所定距離以上か否かを判別する第1判別手段と、
第1の所定距離以上であると判別した場合に、前記制御部への通電を停止する停止手段と
を備え、
前記無線通信部は、
前記制御部への通電を停止後、前記相手装置との距離が、第2の所定距離未満であるか否かを判別する第2判別手段と、
第2の所定距離未満であると判別した場合に、前記制御部への通電を再開させる再開手段と
を備える
ことを特徴とする無線通信装置。
今日のみどころ
スマホや携帯電話のような無線通信端末には、携帯電話網に接続する通信インタフェースの他に、Bluetoothなどの近距離無線通信の通信インタフェースも搭載されています。また、無線通信端末は、充電せずに継続使用できる期間を長くするために消費電力の削減の工夫がされています。この発明では、近距離無線通信の通信インタフェースでの通信をしないときに、CPUの電力供給をオフにするという手法により消費電力を削減します。
超スタンバイモードだとCPUが動作しないので、普通のスマホや携帯電話などには応用できないように思いますが、ある程度特殊な用途の無線通信端末に有用なものであると推察されます。用途に特化すると、課題も解決方法も具体的なものになりやすく、特許がとりやすいと思います。すばらしい。