今回は、エアコンの制御に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。
従来、エアコンの空調で省エネと快適性とを適切に両立できない問題があります。
本発明では、快適性が高い、又は、消費電力が低いほど報酬が与えられる機械学習で空調を制御します。これにより、省エネと快適性とを適切に両立することができます。
エアコンの空調で省エネと快適性とを適切に両立できない問題
エアコン(空気調和装置)によって、省エネと快適性の両方を考慮して空調を行う技術があります。
しかしながら、従来の技術では、省エネと快適性とを適切に両立できない場合があるという問題があります。
快適性が高い又は消費電力が低いほど報酬が与えられる機械学習で空調を制御
この発明の情報処理方法によれば、省エネと快適性とを適切に両立することができます。
まず、情報処理装置が、エアコンが運転されたときの、状況と快適性と消費電力とに関する情報を含むデータセットを用いた強化学習をします。
強化学習では、快適性が高いほど高い報酬が与えられ、また、消費電力が低いほど高い報酬が与えられるという条件で機械学習(例えばディープラーニング)がなされます。
上記の状況に関する情報の例は、室外温度や室外湿度などです。上記の快適性に関する情報の例は、状況に応じた運転設定に対するユーザの許容度などです。上記の消費電力に関する情報の例は、室外温度や室外湿度などです。
そして、エアコンが実際に運転されるときの状況と快適性と消費電力とに応じて、エアコンの運転設定を決定します。
このようにすることで、エアコンの運転の際に、省エネと快適性とを適切に両立することができます。
特許第6885497号 ダイキン工業株式会社
出願日:2020年6月19日 登録日:2021年5月17日
省エネと快適性とを適切に両立させることができる技術を提供する。
【請求項1】
情報処理装置が、
空気調和装置が運転された際の、状況を示す情報と、ユーザの快適性に関する情報と、消費電力に関する情報との組み合わせを含むデータセットに基づいて、前記快適性が高い程高い第1指標、及び前記消費電力が低い程高い第2指標に基づいて決定される値を報酬とする強化学習を行い、
前記空気調和装置が運転される際の状況、前記空気調和装置が運転される際の前記快適性、及び前記空気調和装置が運転される際の前記消費電力に関する条件に応じた運転設定を決定する処理を実行する、情報処理方法。
今日のみどころ
エアコンの制御に関する発明で、ユーザの快適性を高くすることと、消費電力を下げることを両立するようなエアコンの設定を、機械学習(強化学習)によって決定します。
機械学習系の特許の場合、機械学習の仕方と機械学習の結果が明確になるように請求項を記載します。言い換えれば、その結果を得るための処理の中身は、機械学習によって得られるパラメータの集合体が出力するものであり、ブラックボックスになってしまいます。
機械学習系の特許の書き方の参考にもなります。覚えておきましょう。