【特許紹介】宝石の外観と販売価格の機械学習を使用して販売価格を推定する特許発明(ASSEST)を紹介

 今回は、宝石の販売価格の推定に関する特許を紹介します。今日も一緒に勉強しましょう。

 従来、宝石の適正な価格を設定することが難しいという問題があります。

 本発明では、宝石の外観と販売価格の機械学習を使用して販売価格を推定します。これにより、宝石の販売価格を高精度に推定することができます。



 ※特許の本の紹介。
 特許の申請(出願)をする技術者や研究者が知っておかないといけない特許の知識がわかりやすくまとめられている良著です。

宝石の適正な価格を設定することが難しい

 宝石を購入したい場合など、宝石の適正な価格を知りたいことがあります。

 宝石の価格は、宝石の種別、ブランド、産地、重量など、参考にされるファクター(要因)が多くあります。
 
 そのため、宝石の適正な価格を設定するのが難しいという問題があります。

宝石の外観と販売価格の機械学習を使用して販売価格を推定

 この発明のプログラム(宝石販売価格推定プログラム)によれば、宝石の販売価格を高精度に推定することができます。

 まず、推定の対象である宝石の外観の画像から外観情報を取得します。外観情報は、宝石の色、輝き、透明度、加工状態のいずれかを示す情報です。
 
 そして、過去の宝石の外観情報と、その宝石の販売価格との連関度を利用して、推定の対象である宝石の販売価格を推定します。

 画像から外観情報を得る際には、画像と、宝石の色や輝き等とを教師データとして用いた機械学習によってモデル(予想モデル)を予め生成しておき、そのモデルを使って、推定の対象である宝石の外観情報を取得します。

 このようにすることで、宝石の販売価格を高精度に推定できます。推定した販売価格は、例えば、まだ販売価格が決まっていない宝石の販売価格を決めるときや、販売されている宝石の販売価格が適正かどうか判断するときに利用可能です。

 特許第6867063号 ASSEST株式会社
 出願日:2020年8月17日 登録日:2021年4月12日

【課題】
宝石の販売価格をより人手に頼ることなく高精度かつ自動的に推定する。
【請求項1】
 宝石の販売価格を推定する宝石販売価格推定プログラムにおいて、
 推定対象の宝石の外観の画像を撮像することにより抽出した宝石の色、輝き、透明度、加工状態の何れかからなる外観情報を取得する情報取得ステップと、
 過去において宝石の外観の画像を撮像することにより抽出した宝石の色、輝き、透明度、加工状態の何れかからなる参照用外観情報と、宝石の販売価格との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した外観情報に応じた参照用外観情報に基づき、上記推定対象の宝石の販売価格を推定する推定ステップとを有し、
 上記情報取得ステップ及び上記推定ステップでは、推定対象の宝石の外観を撮像した画像データと、宝石の色、輝き、透明度、加工状態の何れかからなる外観情報とを教師データとして機械学習された予想モデルを用い、入力を上記画像データとし、出力を上記外観情報とすることで新たに外観情報を取得することをコンピュータに実行させること
 を特徴とする宝石販売価格推定プログラム。

今日のみどころ

 宝石の販売価格を、その宝石の外観と販売価格の機械学習モデルを利用して推定するという発明です。

 機械学習は、いろいろな目的に使うことができて、特許もたくさんあります。特許をとるときには、その目的ならではの学習データ(教師データ)を規定していくと良いと思います。